柳下毅一郎の皆殺し映画通信

『四月になれば彼女は』そうかこいつも岩井俊二フォロワーだったか! 岩井俊二的記号が飛び交うエセ岩井俊二映画

公式サイトより

 

四月になれば彼女は

監督 山田智和
原作 川村元気
脚本 木戸雄一郎、山田智和、川村元気
撮影 今村圭佑
音楽 小林武史
主題歌 藤井風
出演 佐藤健、長澤まさみ、森七菜、仲野太賀、中島歩、河合優実、ともさかりえ、竹野内豊

 

出奔する。タイトルに著作権はない。ないのだが、しかしここまでどうどうとパクって、なんの言及もないとはさすが川村元気。せめてサイモン&ガーファンクルの曲使って印税で還元しよう、とは思わなかったか。

それでまあ、四月になれば彼女は? 年を取る。弥生(長澤まさみ)は四月一日生まれなので、四月になると一歳年をとるのである。それにしても四月生まれなのに弥生とはこれいかに。12時をまわって誕生日になったところで、同棲中で結婚も間近な恋人の精神科医藤代(佐藤健)と乾杯、それから寝室に引っこんで翌朝、藤代が起きてくるとベッドに弥生の姿はない。いぶかしく思いながらもそのまま出勤する医師の藤代。夜は誕生日ディナーの予約があったのだが、そのまますっぽかし。職場には長期休暇が申請されていた。四月になれば彼女は出奔するのである。

 

 

原作はおなじみ川村元気。見ていてこれはなんなんだ、本当に現代の話なのか?と困惑したんだが、よく見ると音楽:小林武史。そうかこいつも岩井俊二フォロワーだったか! というわけで岩井俊二フォロワーらしくカメラ! 銀塩写真! 世界の果てから元恋人が送ってくる手紙! と岩井俊二的記号が飛び交うエセ岩井俊二映画である。岩井フォロワー、そろそろ絶滅したかと思っていたが……

 

(残り 1943文字/全文: 2653文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

会員の方は、ログインしてください。

tags: ともさかりえ 中島歩 今村圭佑 仲野太賀 佐藤健 小林武史 山田智和 川村元気 木戸雄一郎 森七菜 河合優実 竹野内豊 藤井風 長澤まさみ

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ