松沢呉一のビバノン・ライフ

混同を避けるための区分と時間軸—連濁の法則 2-[ビバノン循環湯 276] (松沢呉一) -6,528文字-

超難問の答えを探る—連濁の法則 1」の続きです。今回でおしまい。

 

 

 

パターン1とパターン2

 

vivanon_sentence「分」以外の助数詞も見てみましょう。

 

 

1編 ぺん ◯

2編 へん

3編 ぺん ◯

4編 ぺん ◯

5編 へん

6編 ぺん ◯

7編 へん

8編 ぺん ◯

9編 へん

10編 ぺん ◯

 

 

「編」は「分」と同じ変化です。「分」と同じく「3編」「4編」で「へん」と読むこともありそうですが、「ぺん」ということにしておきます。

他に「拍」「泊」「方(ほう)」「片(へん)」、手紙を数える「封」などがこのパターンです。これをパターン1とします。

続いて「本」。

 

 

1本 ぽん ◯

2本 ほん

3本 ぼん ●

4本 ほん

5本 ほん

6本 ぽん ◯

7本 ほん

8本 ぽん ◯

9本 ほん

10本 ぽん ◯

 

 

3だけが濁音、1,6,8,10は半濁音。

 

 

1匹 ぴき ◯

2匹 ひき

3匹 びき ●

4匹 ひき

5匹 ひき

6匹 ぴき ◯

7匹 ひき

8匹 ぴき ◯

9匹 ひき

10匹 ぴき ◯

 

 

「4匹」は「よんびき」と読むこともありそうに思いますが、ここでは「ひき」にしておきます。 「票」「本」「匹」「杯」は同じパターン。これをパターン2とします。

3羽を「ば」、4羽を「わ」とすると以下のようになって、これもパターン2。

 

 

1羽 ぱ ◯

2羽 わ

3羽 ば ●

4羽 わ

5羽 わ

6羽 ぱ ◯

7羽 わ

8羽 ぱ ◯

9羽 わ

10羽 ぱ ◯

 

 

waの濁音がba、半濁音がpa。ずっと前に見たように(※メルマガでこのことを論じたことがあります)、h音、b音、p音はそれぞれ独立した音であり、日本語でハ行の濁音がパ行、半濁音がバ行になるのはお約束でしかなく、そうではなければならない必然性がないため、ワの濁音がバ、半濁音がパになっても全然おかしくない。

 

 

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