松沢呉一のビバノン・ライフ

なぜ問題を起こす女性議員が多いのか—今井絵理子は自民党にとって期待の星だった 中-(松沢呉一)-3,284文字-

稲田朋美の薄気味悪さ—今井絵理子は自民党にとって期待の星だった 上」の続きです。

 

 

異様に高い「問題議員の女性率」

 

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自民党では、稲田朋美、豊田真由子、金子恵美、今井絵理子と、次から次と女性議員が問題を起こしています。まだまだ行けるんじゃないかな。

対する男性議員は首相を筆頭に、もっとデカい問題を起こしているわけですけど、数で言うと拮抗していそうです(入閣が決まった松山政司参院議員の女体盛り参加疑惑なんてもんが出てますが、これは政治家になる前であり、本人は参加していないと言っていて、参加していたとしてもそれだけでは罪には問いようがない話ですから、問題にならんでしょう。これについてはこのあと出そうと思っている「政治家を叩く基準」について書いた記事を参照のこと)。

自民党の議員のうち半数が女性議員だったら妥当な率で問題が起きていると言えるかもしれないですが、衆参合わせて、自民党国会議員のうち女性議員は43名、女性率は10.5パーセントに過ぎません。「問題発生率」が高過ぎましょう。

これには意味があるのだとしか思えません、議員になってはいけない人たちが議員になり、議員の自覚がないまま議員をやり、党内でも無理な起用をするために軋みが生じているとしか思えない。

いくらか同情的に言うなら、その実力、能力に比して、過重な仕事をさせられていることも悪い結果を招いているのではなかろうか。そりゃストレスが溜まって暴力とともに「違うだろ、違うだろ、違うだろー」と叫びたくもなり、見境なくセックスをしたくもなりますよ。

女性議員を無理して起用することで弱点を抱えることになっている。

不思議なのは、こういった話が週刊誌に報じられると、自民党関係者が前から把握していたかのようなコメントをすることです。そういう噂があるから週刊誌も取材をかけるわけで、実際、周辺で知っていた人たちはいるのだと思います。だったら注意すればいいのに、なんで放置するのでしょうね。

もしかすっと、女性議員はお姫様扱いになっていて、誰も呼びつけて叱ることができないのではなかろうか。今井絵理子の件は私的領域なので踏み込みにくいとしても、結果こういう事態になってしまうのですから、「気をつけろ」くらい言ってもいいはず。

でも、どやしつけて機嫌を損ね、選挙応援に来てくれなくなると困ります。今井絵理子は人寄せパンダの能力がメチャ高いのです。これもまた政治家の能力のひとつです。

 

 

一政党の問題ではない

 

vivanon_sentenceそんなことをしてきた結果、次々と人材を潰し、「だから女の議員はダメなんだ」「女は政治に向かない」との空気が広がってしまい、メディアは「女の議員は脇が甘い」と見て女性議員に集中的に取材をかけることにもなり、いよいよ女性議員の問題が表面化する。これだと、これから政治家を目指す女たちの足を引っぱると思うなあ。

ここまでずっと論じてきたように、女性議員率を上げるには、それ相応の時間をかけて環境作りをやっていかないと、こういうことになってしまう。これが私の言っている「軋み」です。その理由を見極めることなく拙速に「女性議員を増やせ」「男だけで法律を作るな」などと言ってきた人たちにも責任がありましょう。

自民党もさすがにもう懲りて、方向転換をするしかないかも。時間をかけて地道にやるしかない。共産党を手本にすべし

私は共産党とはソリが合わないですけど、共産党の女性議員率の高さを見るにつけ、自民党の失策を見るにつけ、こういうところの堅実さについては共産党に感心します。落選することがわかっていても候補を出す姿勢が経験を積ませる場になっていて、同時に使えるかどうかふるいにかける場にもなっていそうですしね。

でも、これはもう一政党では対応しきれないのではないか。そもそも女性議員が出にくい社会的環境がある限り、共産党とて、今以上に女性議員を増やすのは難しい。

女性議員を増やすとなると、すぐに「子育てがしやすい環境を」と言い出す人たちがいるのですが、違いますから。むしろ、そこに収斂させる主張は「政治家になっても母をやり続けなければならない」というプレッシャーを強化する。「金子恵美議員の公用車問題」で見た通りです。

※写真は自民党荒川総支部。たまたま前を通りかかっただけです。左端にある黄色いポスターは、今井絵理子の後援会「笑顔の会」後援会連絡所のポスターです(その上に出したのはそこを拡大したもの)。「なんでこんなところに今井絵理子の名前が出ているんだろう」と訝しく思って今井絵理子と荒川区の関係を調べたら、選挙応援に駆けつけていたことがわかった次第。

 

 

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