松沢呉一のビバノン・ライフ

性欲と物欲のバトル—ヤリマンからの電話[3]-[ビバノン循環湯 343] (松沢呉一) -4,162文字-

セックスをし続けるために—ヤリマンからの電話[2]」の続きです。

 

 

 

 背筋が寒くなるセックス

 

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「女のセックスマスターでも、男のセックスマスターでも、下手なのを育てるのが好きなのもいるじゃないか。単に体験不足だったりもするから、下手な若い子を食って、一通り教え込んだら世に放つ。オレも君と同じで、できあがっている方が好きだけど、可能性が見えるんだったら、育てる気になるのもわからんではない」

「未来がないのもいるけど、下手でも未来がありそうなのはいるよね。でも、そういうのは面倒だから、私は一回でいいと思っちゃう。他のセックスマスターが育てるのを待ちますよ、もっと上手な人とセックスしながら」

「第二次審査の実地でそういうのははねられるわけね」

「そうそう。そういう人はたくさんいるんだよ。でも、無人島に行ったら、そういう人とでもするよ。しょうがないから、私だって育てますよ。どうせ暇でしょ、無人島は。でも、今回の男はそれとは違うの。無人島にその人と二人で流れ着いたら、ナマコでオナニーする(笑)」

やっと話が元に戻った。一回ヤッて二度とやりたくないと思った初めての体験の話だ。

 「“もうわかったからいいや”って切る人はいっぱいいるけど、セックスして、“この人とはもう絶対にイヤだ”と思ったのは今回が初めて。なんでそんなにイヤなのか私も全然わからないけど、セックスしている最中に寒気がした」

「窓が開いていたんだろ」

「そうそう、木枯らしピューピュー、って冬じゃないよ、今は。今まで私は肌が合う合わないってよくわからなかったんだよ」

「そう言っていたね。上手い下手はわかるし、チンコが大きい小さいはわかるけど、体の相性っていうのがよくわからないって」

「でも、そういうのがあるんだなって、今回よくわかった。クンニのうまい子どもの意見も聞いておくもんだって初めて思ったよ」

「初めてかよ。だから、君は度量が広いんだよ。人間がでかいというか。相性を問わず受け入れられる」

「ん、オマンコが広い? デカい?」

「誰も言ってない」

Jean Antoine Houdon「Winter」

 

 

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