松沢呉一のビバノン・ライフ

「おっぱい募金」反対署名への怒りを決して忘れまい—TOKYO AIDS WEEKS 2017にて[2]-(松沢呉一) -2,426文字-

「楽しかった」で終われない—TOKYO AIDS WEEKS 2017にて[1]」の続きです。

 

 

 

闘いの日々は続く

 

vivanon_sentenceTOKYO AIDS WEEKS 2017には予算を切り詰め切り詰め、ここまでやってきている団体の人たちや、無報酬で尽力してきた人たちによって支えられています。私もそうですが、TOKYO AIDS WEEKS 2017のそれぞれを担当した人たちは無報酬です。なにしろ無料イベントですから。

各コーナーを担当した団体からギャラが出ているケースはあるかもしれないですけど、それは持ち出しでやっている話です。ギャラまでは出していないにしても、韓国からGiantGirlsのメンバーたちを招聘したSWASHも、相当持ち出したはずです。

エイズ学会とTOKYO AIDS WEEKSの盛り上がりが終わるや否や来年のレインボープライドの話がFacebookに流れてきました。訴訟支援の話も流れてきて、次のイベントの情報も流れてきて、NOT ALONE CAFEの告知も流れてきました。NOT ALONE CAFEは日本に住んでいる外国人のゲイのための場です。ここに15カ国を超える国の人たちが集まるようになったのも、場所を提供してくれる店があり、日曜日を潰して取り組んできた人たちがいるからです。

SWASHもそうですが、もう皆さん次のことで動いていて、そういった日常の蓄積がTOKYO AIDS WEEKSに表れていたに過ぎないのだし、そこでさまざまな人と出会い、情報を得て、時に励まし合って、決意を新たにする場でもあります。

そういった活動に寄付をしてきたのが「おっぱい募金」です。それを踏みにじるような署名を集めた人たち、協力した人たちがいました。それが極々近いところにもいました。

 

 

あの怒りは一生忘れまい

 

vivanon_sentenceゾーニングされたものをわざわざ外に出して晒して難癖つけた「おっぱい募金」反対の署名は「エイズ対策のために真剣に戦っている世界中の人たちに対しても失礼」などと決めつけてましたが、この連中こそが失礼で迷惑。現にそれを批判したのは長年HIV対策に関わってきた人たちが中心でした。

こんな呆れた、ただの難癖署名に平然と協力できた人たちのほとんどは、何ひとつ、エイズ対策に寄与したことなどないでしょう。そんなことより道徳が大事、「私の不快という感情」が大事な連中です。出歯亀して勝手に不快になった変質者ども。

対してAV業界はさまざまな寄与をしてきています。TOKYO AIDS WEEKS 2017では森林原人らAV男優たちも感染症に関するトークイベントをやっていて、私も観に行きました。

森林原人はこのあとも仕事が入っているとのことでした。そんな忙しい時間の合間にも、エイズ対策のために無償で尽力し続けています。AV女優でもエイズ学会に協力していたのがいます。

TOKYO AIDS WEEKS 2017開催時の中野サンモール

 

 

スティグマはオシャレな用語だと思っている無知蒙昧な弁護士

 

vivanon_sentenceHIV対策においては「陽性者に対するスティグマ(負の烙印)をどう払拭していくか」というのが大きなテーマで、私の記憶では2000年頃から、延々とそれが論じられていて、対策も昂じられ、今回もさまざまなところでスティグマという言葉を耳にし、目にしました。私自身、トークの中で使っています。

 

 

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