「おっぱい募金」中止を求める署名の愚劣-HIV対策の妨害者(松沢呉一)3,141文字-
HIV対策を妨害する呆れた署名
最悪の署名です。
この呼びかけ文の中で、「スカパーは配慮した方がいい」と思えるのは、「この募金を受けてどのような活動が実現したか、募金先の団体はその活動結果も公表するべき」という点のみ。
もちろん、集めた金が正当に使われていなかったといった事実があれば問題にしていいとして、現状ではそう疑える根拠は何もない。「この企画を作っている制作会社の代表と、募金を受け取っている団体は同じ代表者名」であるのは、それ用の団体を作っておかないと、スカパーなり製作会社なりの売り上げとして計上することになって面倒とか、そういうことなのでは?
私もこういう場合の処理をどうしたらいいのか知らないですが、疑うのであれば疑う人が問い合わせればいいだけです。確認もしないで、どうしてここがさも問題であるかように吹聴するのでしょうね。
これについてはスカパーからなんらかの説明があるでしょうから、それを待つとします。
本人たちの意思を平気で踏みにじる無神経さ
あとはすべてがひどすぎ。そのひとつひとつをすべて批判してもいいですが、いろんな人たちがすでに批判をしているので、私は論点を絞ります。
許しがたいのはここ。
なぜならこのイベントは「募金」とは名ばかりで、寄付する人はおっぱいを触るための対価としてのお金を払っているだけだからです。実際には、おっぱいを触らせている女性たちがその対価として受け取るはずの「報酬」を(全部か一部かはわかりませんが)放棄することで、お金が集まっているだけではないでしょうか?
ほう、受け取るはずの報酬をもらえなかった、つまり、報酬を踏み倒されたってわけですかい。
しかし、「全部か一部かはわかりません」「お金が集まっているだけではないでしょうか?」という書き方からして、確認もせず、根拠も何もないのでしょう。
本人たちが納得しているのであれば、ノーギャラであろうと、薄謝であろうと問題なし。実際、出ていたモデルたちは誰もそんなことは言ってません。
もし出ているモデルらが納得しているのに文句をつけるのであれば、同じくギャラとしてもらえるはずの金額の一部か全額を放棄し、客は提供されたものに金を払っているだけなのだから、チャリティコンサートも、チャリティ握手会も、チャリティ講演会も、すべて中止しなければならないはずです。漫画家やイラストレーターが原画を提供して売り上げを寄付することも、芸能人が私物を提供して売り上げを寄付することもすべて中止。
なぜそれは同じ論理で中止を求めないのか。それが理由だからではないことが透けて見えます。
エイズ対策とエロが無関係とする無知
「そもそも、エイズ対策と、おっぱいは関係がありません」とも書いてますが、エロと性感染症は関係があるに決まっているでしょうが。HIVの場合は輸血やドラッグの注射で感染することもありますが、今現在、9割が性的接触によるものです。
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