松沢呉一のビバノン・ライフ

国や文化を知るにはセックスから—キューバに魅せられた人々(上)[ビバノン循環湯 376]-(松沢呉一) -2,951文字-

たまたま会った人物の話がムチャクチャ面白くて聞き入ってしまいました。彼は世界中を旅してます。この時聞いたのは主にキューバの話です。最近初めて行ったそうですが、その時の感激がまださめやらぬ様子で、また行くと言ってました。そのくらいいいらしい。

そういえば前にもキューバの話を教えてくれた人がいました。彼もキューバが大好きです。どうしてそうも惹かれるのか。その時に聞いた話は原稿にしたはずだと思って探してみたら、メルマガに書いてました。これは10年以上前の話。

この二人の話はおおむね合致しているのですが、違うところもあります。たぶん10年くらい経っていると思うので、その差かもしれない。今回聞いた話は最後に追加するとして、まずは以前書いたものを循環させておきます。キューバの話を契機に考えたことがメインの文章ですけど、キューバの魅力が少しはわかろうかと思います。

図版はすべてGoogleストリートビューより。多くはハバナですが、それ以外もチラホラと。

 

 

キューバ音楽はマンボやルンバ

 

vivanon_sentenceキューバ音楽が好きな人に話を聞く機会がありました。

「キューバの音楽ってサルサ?」

「サルサも盛んですけど、厳密に言うと、サルサはプエルトリコです。そのルーツはキューバだと言われてますけど、ニョーヨークのプエルトリカンたちが始めて、プエルトリコやキューバに広まった音楽です。純粋にキューバで生まれて発展した音楽はマンボやルンバです」

「那覇の路上でサルサのバンドが演奏していて、それがよかったので、その場でCDを買って話を聞いたら、たしかキューバでもライブをやったって言っていた」

「カチンバ1551ですね」

「そうそう」

「今現在、日本のサルサバンドではもっとも面白いことをやっていると思いますよ。この間も東京でライブをやってました」

 

 

 

「ああ、時々東京に来ているって言っていた」

ライブのよさに比してCDを家で聴いても今ひとつだったことは内緒です。

 

 

恋愛とセックスが最大の娯楽

 

vivanon_sentence「キューバの人たちって、何を歌っているの? 能天気な歌詞だろうとは想像がつくけど」

「能天気です(笑)。だいたいラブソングです。パーティに行って他の女の子を連れて帰ってしまったので、ごめんなさいって奥さんに謝っていたり」

「それでもおまえのことが好きだよと」

「いや、その女のことが好きになってしまったので終わりにしようって(笑)」

「そんなあ」

「そういう人たちなんですよ。執着しない。恋愛とセックスが最大の娯楽ですから、歌詞もほとんどがそれになる」

結婚しても新鮮な恋愛とセックスを楽しみ続けようとしたら、当然、浮気をすることになります。男も女も。楽しそう。

 

 

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