松沢呉一のビバノン・ライフ

同性愛かコスプレか—古い絵葉書[1]-[ビバノン循環湯 418] (松沢呉一)-2,594文字-

10年以上の間、ポット出版のサイトで、大量の文章を発表してました。ポット出版で最初に始めたのは「ボツ劇場」というもので、スタートしたのは1999年のことです。商業誌で使わなかった原稿や最初から発表するメドがないまま書いたものを出していて、もともとそんなに読まれたいものでもなかったので、1週間か2週間でひっこめてました。そうすることで、ブックマークをさせたいという計算もあって。

その当時消したものを「ビバノン」で循環していたりもします。

その後、ポット出版でブログ「黒子の部屋」をスタート。こちらは消さない方針。「ビバノン」が始まってからも、しばらくは告知用に使っていたのですが、それもなくなって、どのタイミングだったか、一部だけ残して、あらかた消しました。

それからまた時間が経って、今も読んでもらう価値のあるかもしれないものは「ビバノン」に移動することにしました。更新し続けていれば読む人もいますけど、あっちは更新がないので、ほとんどアクセスはなくなってます。ポットのブログは関連記事の表示がなされず、当時はタグもつけてないので、過去のものを読む人は少ない。こっちに移動したところで知れてますけど、自分の文章は一カ所に集中させておいた方が私自身が便利です。「これって前にビバノンに出したよな」と思って探しても見つからず、「黒子の部屋」に出していたりするんですよ。

その第一弾として古い絵葉書についてのシリーズです。2012年9月のものです。冒頭に説明があるように、このシリーズはFacebookに書いて、それをブログ用にまとめ直したものです。ほとんど当時と変わらないので、読んだ方は飛ばしてください。

なお、一部の絵葉書は、「ビバノン」のどこかで使用しているかもしれません。ご了承ください。

 

 

TwitterからFacebookへ

 

vivanon_sentenceFacebookは登録したまま長らく放置していたのですが、最近やっと仕組みがわかって、TwitterよりFacebookを見ていること、書いていることの方がずっと多くなっています。

私はもともと文字数をいっぱい使って書くことに向いているので、ひとたびFacebookに慣れると、Twitterはいちいち文字数を気にしなければならないのが息苦しい。

同時に文字数を気にしなくていいのが難点でもあって、ちょっとしたきっかけで、ついつい書きすぎてしまいます。ここ数日、古い絵葉書についてずいぶん文字数を使ってしまいました。

こういう話は以前メルマガで長期間やっていたので、調べ直すことなくスラスラ書けてしまいます。その分、勢いで書くがための誤字脱字、思い込みによる間違いも多くなりがちです。また少しずつ書いては出すため、流れがわかりにくく、コメント欄とのつながりもわかりにくい。

そこでここ数日書いたものを改めてブログにまとめておくことにしました。だったら、最初からブログに書けばいいわけですけど、書きたくて書くわけではなくて、流れでそうなるだけなので、今後もこういうことをやっていくかも。

 

 

レズビアンの写真?

 

vivanon_sentenceまずはこの写真。

 


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検索してみると、あちこちに貼られています。どっかから写真を拾ってきて、出典記載なく貼り付ける人が多いため、最初に出したのが誰なのかわからない。著作権が切れていても、出典にリンクくらいすればいいのにな。それによってわかることもあるんだから。

この写真をFBに転載して「Lesbian visibility(レズビアンの可視化)」としていたのを見た知人が、「出典を知っている人はいないか」と書いてました。

まず間違いなくこれは絵葉書です。明治のものでしょう。

私は当時の絵葉書事情を踏まえて、レズビアンではなくて、単なるコスプレだろうと推測。女子が男装するのは珍しくはあるのですが、絵葉書でも営業写真(写真館で客が金を払って撮ってもらう写真)でも、稀に見ます。

明治時代から大正半ばあたりまで、絵葉書のモデルはほとんどが芸者です。一般女子は写真を広く公開することさえも抵抗がありましたから。

 

 

小指のない照葉

 

vivanon_sentence上の二人は子どもっぽくもあるので、もしかすっと半玉(一人前になる前の修行中の子ども。京都などで言う舞妓)かもしれない。

芸者が芸者として出ているものもありますが、町娘、女学生、花嫁などによく扮装しています。

 

 

 

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