女子高や女子大は不均衡是正のために存在しているのではない—男女別学は差別か?[2]-(松沢呉一)-2,343文字-
「文科省の姿勢は間違ってない—男女別学は差別か?[1]」の続きです。
東京女子医大は例外らしい
前回見た、独立行政法人経済産業研究所の山口一男研究員によると、東京女子医大は「社会全体としての男女の機会の均等に反しないので「目的が適切」とみなして良い事例」であるとしています。男子受験生から見た時に、女子に比して選択肢が少ないのは問題がなく、上位の目的が正しければ、個の不利益は甘受すべきだという考え方です。
たしかに教育の機会均等は上位に来ていい目的でありますけど、教育基本法における機会均等は男女だけでなく、「人種、信条、社会的身分、経済的地位又は門地」「障害」なども指し、それと同時に学校の自主性、自立性も尊重されなければならず、だからこそ、別学も共学も認められていて、そこに文科省は介入しないというのが今この国のルールでしょう。
対して山口一男研究員は別学や定員制(10対10の定員でも男女の合格成績が違えば差別という考え方でしょう)は機会均等のルールに反していて、女子医は女性医師が少ないことに対抗するものだから例外として認められるだけだと考えているようです。
この論が成立するとしても、例外ではない女子大や女子高、男子高などは「憲法違反」として告発されなければならないはずです。
昭和40年代から高校進学率は女子の方が高い
そのことを確認していきましょう。
内閣府男女共同参画局「学校種類別進学率の推移」より
これを見ればおわかりのように、昭和40年代に逆転して以降、今に至るまで高校進学率は女子の方が高い。よって、女子高は「男女の機会均等に反している」「目的が不適切」ですから、即刻廃校にするか、共学化するよう、文部省は指導すべきですね(誤解する人がいるといけないので繰り返しておきますが、私は「そんなもん、学校の判断に任せておけばよく、文科省は介入すべきではない」という考えです)。
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