松沢呉一のビバノン・ライフ

各私大が東洋大に学ぶべき点もある—懲戒の基準[2]-(松沢呉一)

立て看を出した学生に対する東洋大職員の恫喝は懲戒対象—懲戒の基準[1]」の続きです。

 

 

 

東洋大学の就業規則を確認する

 

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では、学生を恫喝した職員はどのルールに反して、どういう処分が適切なのか、東洋大学就業規則を確認してみましょう。

 

 

第6条 教職員は、次の各号に関する行為をしてはならない。

(1) 本学の名誉又は信用を傷つける行為。

(2) 許可なく公職若しくは他の職業につき又は本学以外の業務に従事し若しくは事業を営む こと。

(3) 職務上の地位を利用し私利をはかる行為。

(4) 教職員間の営利行為。

(5) 許可なく本学の施設を使用して、集会・演説・その他本学の業務を妨げる行為を行うこと。

(6) 職務上知り得た機密を漏らし又は許可なく機密に関する文書帳票類を他に閲覧謄写させ ること。

(7) ハラスメント行為。

(8) その他本学の指示に反する行為。

 

 

1に該当する可能性があり、学生に対する不当なハラスメントとも言えましょう。

以下は懲戒について。

 

 

(懲戒)

第48条 教職員が、次の各号の一に該当する場合は、別に定める懲戒委員会に諮ったうえ懲戒する。

(1) 経歴を偽り、その他不正な手段によって本学に採用された場合

(2) 暴行又は脅迫により本学業務の遂行を妨げた場合

(3) 業務上の機密及び本学の不利益となる事項を他に漏らした場合

(4) 故意又は重大な過失により本学に損害を与えた場合

(5) 職務上の業務に違反し又は職務を怠った場合

(6) 本学の信用を傷つけ又は名誉を汚す行為があった場合

(7) 勤務態度又は勤務成績が著しく不良の場合

(8) ハラスメント行為があった場合

(9) 教職員の品位を傷つける不正の行為又は非行のあった場合

2 前項に規定する事由に該当した者に対しては、懲戒処分が決定する前に就業の停止を命ずるこ とができる。ただし、就業停止期間中の給与は支給するものとする。

 

 

4、6、8に該当しそうです。

以下は各懲戒の内容。

 

 

第49条 懲戒は、前条に該当する行為の軽重情状により、次のとおりとする。

(1) 譴責 譴責処分通知書を交付し、始末書を提出させ将来を戒める。

(2) 減給 1カ月を限度として給与を減額する。ただし、1回の額は、平均賃金の1日分の半 額を、また総額は月収の10分の1を超えることはない。

(3) 出勤停止 14日を限度として出勤を停止し、この間の給与は支給しない。

(4) 降給・降格 降給とは給与の号俸または等級を下げることをいい、降格とは職員において は身分または役職を下げ、教員においては役職を解くことをいい、事由によっては降給と降格 を併せて行うことがある。教員については、雇用期間の定めのない教員の身分(教授・准教授・講師・助手)を下げることはしない。

(5) 諭旨解雇 諭旨をしたうえで、自己退職の形式により解雇する。退職願が提出された場合 は、退職金を支払う。

(6) 懲戒解雇 即時解雇し、退職金は支給しない。この場合において、所轄労働基準監督署長 の認定を受けたときは解雇予告手当を支給しない。

2 懲戒は、前項第1号の譴責と、同第2号以下の一を限度として併科することができる。

 

 

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