松沢呉一のビバノン・ライフ

受けるM女の条件はM女を演じられること—M女とM女タイプ[下]-[ビバノン循環湯 554] (松沢呉一)

性的嗜好と性格の一致と不一致—M女とM女タイプ[上]」の続きです。

 

 

 

女王様タイプ集団の中のM女タイプは居心地が悪い

 

vivanon_sentence前回取り上げたインタビューのあと、編集者と話していたんですけど、典型的M女って、実は自意識過剰で、自分のことしか考えてなかったりします。だったらはっきり自己主張すればいいものを、そうはしないために、ヘンな形で主張してしまう。ある存在に帰依することで、自分を改めてクローズアップしているだけで、本当はかわいくてかわいそうな自分に興奮しているタイプのMプレイと、性格が完全に合致しています。

きっかけを聞いても、「仕事としてはそんなにやってない」と言いたがったり、逆に「自分は8年SMをやっているのだ」と自分のキャリアなり、真性であることなりを主張したがる。それはきっかけではないので、質問の答えになっていのませなん。そういう趣味のある人と出会ったのがきっかけだったかどうかを改めて聞いても、自分には現在もご主人様がいることを主張したがるので、どこまでも会話が成り立たない。

このように、インタビュアが聞きたいことに答えるのではなく、相手の質問に乗って自分が言いたいことを言う。それならそれで、自らペラペラと話してくれればいいのに、ほっとくと話してくれない。「相手が聞きたがるから私は話してあげました」という前提が必要なのです。ああ、面倒。

彼女はその面倒を相手が乗り越えてきてくれることを期待しています。M女に限らず、微妙にこっちが言うことをズラして話す人って、同じような依存的自己主張の表れなのかもしれないとも感じます。

この間、SMクラブのママと話している時、彼女は、女王様中心のクラブではM女が居着かないという話をしてました。M女集団の中に少数の女王様が混じるのはいいのに、逆はうまくいかないのだそうです。

女王様たちの多くは、はっきり自己主張をしない人をかまってやらない人が多いと思うんですよ。仕事では、面倒でもM男の心理を読もうとするでしょうが、ふだんからそんなことをやってられない。あるいは愛情があればそうするとして、店の控え室で居合わせただけの人にいちいちかまってられない。

私もわりとそういうところがあります。知らないですよ、そんな人のこと。でも、M女は内心かまって欲しくてしょうがない人たちだから、自己主張しないと存在を認めてくれない場所は居心地が悪いんでしょう。

こういう人たちだから、「かまってよ」とは言わずに、無言電話をするのです。「かまって欲しいなら、堂々そう言え」と書いているだけで腹立ってきます。そうはっきり言えばかまってやるのに。忙しかったらそれでも放置しますけど、暇だったらかまってやらないでもない。

「無言電話しそうな女」を敏感に察知して遠ざけるようにしているため、この頃は無断電話がめっきり減ってますけど、ホントにそういう人がいるのです。男もそうみたいですけど。

Vintage nudes – Opus 4 着色しました

 

 

受けるM女はMを演じられるタイプ

 

vivanon_sentenceしかし、インタビューしたそのM女に、エロモードで突っ込むと、「イヤー、恥ずかしい~」なんて言って身をよじったりします。そういうこと言われると嬉しいみたいなんですけど、これがまた疳に触ります。かわいくもなんともなくて、泣かしてやりたくなります。ああ、またM女の思うつぼ。

SMという行為は自分を認めてくれる行為であり、だから嬉しいんでしょうけど、こういう女にどうして愛情を抱けるのか、私にはよくわかりません。

でも、肝心の話を聞こうとすると、「えー、そんなことまで話すんですかぁ」なんて恥ずかって話してくれない。ホント、イライラする。

ここでは一歩踏み込んで、「読者はあなたのことに興味があるので是非話してくださいよ。読者はチンポをおっ立ててセンズリしますから」とでも言うと、自尊心をくすぐられ、マンコを濡らしながら話したりするんでしょうけど、こんな女の話を聞いてもしょうがねえやと思って、早々に切り上げました。そのため、原稿を書くときに内容が薄くて困ってしまいました。ライターとしては失格だと思います。

でも、Sの男は、ここで面倒を厭わず、ちゃんとケアをします。偉いです。偉いか偉くないかではなく、こういうM女タイプこそが彼らは好きなのです。

 

 

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