松沢呉一のビバノン・ライフ

陰謀論にすがる前に検索を—健康な若い世代はCOVID-19ではほとんど死なない[1]-(松沢呉一)

 

 

今さらながら検索する癖をつける

 

vivanon_sentenceカメラマンの秋山理央は「ビバノンを読み始めてからデータを見る癖がついた」と言ってました。彼はもともとリンク先をちゃんとチェックするタイプだからこそであり、購読者の誰もがそうなっているわけではないでしょうが、私はデータを極力探して出すようにしているので、そういうタイプにとっては「ビバノン」は役に立つので講読してはどうか。とさりげなく宣伝を入れ込んでみました。さりげなくないか。

では、ここからはデータに限らず、検索をして調べられることは調べる癖をつけた方が信用を失わなくて済むって話です。当たり前ですが、こういう時は当たり前のことが忘れられてしまいます。錯乱したら、数字を見ると落ち着くぞ。

私の周りには「ゆるゆる派」がまあまあいるので、今まで通りにゆるゆるです。「面倒臭いからそろそろ感染すっかな」という話もよく出ます。もちろん冗談ですけど、ライブハウスや飲食店のスタッフなど、当面仕事にならんですから、もし感染したら、1ヶ月くらい休養するのもいいんじゃないでしょうか。私のような初老は死ぬかもしれないですけど、若い世代だったらまず死なないし、重症化しないですから。

と言うと、「いや、海外ではどんどん若者が死んでいる」と反論する人がいそうですが、データ調べた? それもこのシリーズで確認しますが、だいたいの数字は公開されていて、ネットで調べられるんだから調べましょうよ。

でも、ゆるゆる派かと思っていたら、熱が出てきて、慌てて病院に行って「検査してくれない。検査しないで感染者の数を少なくしようとしている」と騒ぎ出すのは勘弁して欲しい。検索すると、検査の条件が出てくるので調べとけ。

以下が感染症法に基づく検査の条件。

 

 

厚生労働省健康局結核感染症課「新型コロナウイルス感染症に関する行政検査について(依頼)

 

 

1、2、3のどれかに該当している必要があって、熱が出たくらいでは検査しない。治療薬はないんだし、肺炎になったわけでもないんだから、家で自主隔離して寝て治せば問題なし。普通に風邪をひいたら家で寝ているわけで、それと同じ扱いでいいのです。そうしないと病院の負担は大きくなるばかりですし、院内感染を拡大しかねない。

そうこうするうち悪化して肺炎になったら検査してもらえるかもね。

 

 

陰謀論に走る人々

 

vivanon_sentenceコロナの影響をまったく受けていない人はほとんどいないとして、「ゆるゆる派」の私らは無駄なストレスが溜まっている感じはさほどないんですけど、「きつきつ派」の人たちって大変じゃないんですかね。「あいつはマスクしてない」「あいつはパチンコ屋に入った」「あいつはバンドマンだ」「あいつは手を洗わなかった」と監視しちゃってさ。コロナ・ゲシュタポかよ。

「オレらはコロナなんかに負けねえぞ」みたいなロッカーのノリも私は合わない。だって負ける時は負けるべ。ロフトヘブンで感染した(感染させた?)バンドマンのツイートにもそういうノリを感じてしまいました。現に負けたべ。死んでないから引き分けか。

どれもこれも好きにすればいいのだけれど、陰謀派の中には放置できないものがあります。こういう時には不安なあまり、陰謀論にすがる人たちが出てきてしまうのはある程度しゃあないかとは思うのですが、そういう人たちがデタラメを拡散して民心を惑わすのは困ったものです。

「茨城県が納豆の売り上げを伸ばすためにコロナウイルスをばらまいた」みたいな陰謀論はいいとして。つうか、こういうのは私は好きです。私も自分では最近納豆を食ってないのに、納豆をプッシュしてましたしね。その後、茨城県では感染者が続々出ているので、山形みたいに納豆汁にすればいいのかと思ったのですが、山形も陥落。島根や鳥取の名物なんて知らない。

そういうのはシャレとして容認できるとして、悪質なものもあります。

陰謀論にはまりそうになったら、「それを実現するにはどれだけの人が関与するのか」を考えるとだいたい判断できます。関与する人が多ければ多いほど、情報は漏れて失敗しますから、陰謀にならない。

また、大規模な操作をすると、データに不自然な数字が出ますから、マメにデータを見ていましょう。そんな面倒なことはできないというのなら、アホを晒さないように黙っているのが無難です。

 

 

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