メディアの低劣な若者叩きキャンペーンに要注意—健康な若い世代はほとんど死なない病気[9]-(松沢呉一)
「症状が出ていない感染者が他者に感染させるか否かの議論—健康な若い世代はほとんど死なない病気[8]」の続きです。
NHK「おはよう日本」の「若い世代」の扱い
いかにおかしな報道がまかり通っているのかを確認します。
以下は4月14日付「NHK NEWS WEB」より。
新型コロナウイルスの国内の死者などについて年代別の人数が明らかになりました。40代以下の比較的若い世代でも死亡したり重症化したりするケースがあることがわかりました。
新型コロナウイルスの国内の発生状況について、厚生労働省は12日時点での、死者や重症患者、感染者の年代別の人数をまとめ公表しました。
それによりますと、この時点での死者合わせて102人のうち、もっとも多かったのは70代で37人、次いで80代が36人などとほとんどを高齢者が占めましたが、40代も2人死亡していました。
「おはよう日本」のクレジットが入っていることから、同番組の内容をまとめたものであることがわかります。
ここで指摘されていることはいまさら言うまでもなく、各種集計を見ていればわかることですし、40代でも死亡したり重症化していることは「ビバノン」でも書いてきた通りです。
昨日、川崎市で外国人旅行者の30代が亡くなっていて、これが日本で初の30代の死亡者ですが、このNHKの報道はその前の集計をもとにしています。これは確率の問題ですから、感染者が増えれば30代以下の死亡者が出てくるのは中国のデータ、イタリアのデータ、米国のデータを見れば明らかです。
ここでは「比較的若い世代」としています。「50代以上に比べて」という意味だとわかりますけど、グラフをよく見てください。20代がありません。20代の重症者はゼロですから。囲っているのは10代から40代を合わせたものであり、50代以上が圧倒的に多いことは一目瞭然です。
呆れたごまかし
以降、どんどんひどくなっていきますよ。
新型コロナウイルスの国内の発生状況について、厚生労働省は12日時点での、死者や重症患者、感染者の年代別の人数をまとめ公表しました。
それによりますと、この時点での死者合わせて102人のうち、もっとも多かったのは70代で37人、次いで80代が36人などとほとんどを高齢者が占めましたが、40代も2人死亡していました。
40代以下の死亡は2名のみで、重要なのはほとんどの死亡者が高齢者であることです。
一方、感染者は若い世代のほうが多い傾向にあり、合わせて7000人余りの全体の感染者のうち、40代以下が3700人余りと半分以上を占めました。
感染した若い人が軽症だったり症状がなかったりして知らないうちに感染を広めているおそれがあることが改めて浮き彫りになっています。
厚生労働省は高齢者だけでなく若い世代に対しても、「不要・不急の外出を自粛し、『密閉・密集・密接』のいわゆる『3密』の場所には行かないよう協力してほしい」と呼びかけています。
この文脈で、40代以下を「若い世代」とするのは、上の世代に比して若いということはわかりますが、わからん人にはわからんでしょう。頭の中には20代がイメージされていそう。
では、その数字を確認してみます。
2020年4月12日付「東洋経済 新型コロナウイルス国内感染の状況」より
統計局の数字をカウントすると、40代以下は6611万人で、50代以上は5096万人です。40代以下の方が多いのですから、感染者が多くてもなんら不思議ではない。10代以下が少ないにもかかわらず、20代、30代、40代が多いとは言えますが、もっと多いのは50代。
NHKではそこまでわからないようにしているのですが、ここで取り上げるべきは50代です。50代を若い世代と言うか? 40代、50代が多いのですから、「中年が多い」ってことです。
しかし、これでは「悪いのは若者だ」というデマキャンペーンにならないわけです。あまりに見え透いた操作です。
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