松沢呉一のビバノン・ライフ

飲食店を中心に続々フェイスシールドを導入—マスクよりもフェイスシールド[4]-(松沢呉一)

使用感・経済性はフェイスシールドが上—マスクよりもフェイスシールド[3]」の続きです。

 

 

 

阪大のクリアファイル・フェイスシールド

 

vivanon_sentence世界各国のマスク事情を調べたり、スペイン風邪流行時のワクチンを調べたりして忙しかったため、フェイスシールドについてはよくわかっていなかったのですが、医療現場でフェイスシールド不足が起きて、フェイスシールドのDIYが話題になっていたんですね。そう言えば、銭湯のテレビで、高校生がフェイスシールドを自作して医療機関に寄付しているという報道を見たように思います。

以下はクラウドファンディングによる阪大医学部のプロジェクト。

 

 

 

書類用のクリアファイルを転用するアイデアです。すでにプロジェクトは完了していて、3Dプリンター用のデータを公開しています。

これは暫定最終版の動画で、どうクリアファイルを折るといいのかを解説したものです。

中島清一先生はそれまでの折り方に対して「やや息苦しい」と言ってます。通常、医療関係者は、さらにN95のマスクをしますから、この段階で息苦しいのは大きな欠陥ですし、密閉度が高いとクリアファイル変形の原因にもなります。そこでアゴの部分を広げて解消。「非常に楽です」「息もしやすい」「防御能力は完璧」と言っています。

医療関係者の場合、フェイスシールドへの期待は目への飛沫対策がメインですから、その点では完璧です。目からの感染ははっきりとしたデータはなさそうですが、目からの感染は無視できないってことです。

使ってみないとわからないですが、市販されているフェイスシールドに比して、口元の折り目が少し気になりそうです。また、腰が弱いためにずれたり、変形したりして、視覚的な歪みが生じそうです。そうなったら捨てて付け直せばいいってことでしょう。

しかし、品薄になっていた時のやむにやまれぬ代案であって、今となってはあんまり求められないのではなかろうか。

それでも緊張の中でこういうことをやることは息抜きの意義があるし、こういった工夫をすることで、実用的なアイデアも出てくることがあります。大事。

 

 

キャバクラでもホストクラブでも導入の動き

 

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この場合の品薄は、今まで使っていなかった病院やクリニックで使うようになり、受付など今まで使用していなかった部署で使うようになったためですが、さほど深刻ではなかっただろうと推測します。前回見たように使い回しができますから、マスクとは違う。乱暴に扱わなければ一ヶ月でも使用可。

一般の人たちでも3Dプリンターを使ってフェイスシールドを試作したりしていて、フェイスシールドはプラスチック製造をやっている町工場でも製品を作れそうですから、時間さえあれば増産可能です(これにも特許がいくつかあるようで、製品を作ると特許料が発生するかもしれないけれど)。今はもう十分対応できましょう。ネットで見ても全然品切れにはなってません。

「どう装着するのか」に工夫はあって、接続方法に若干のアイデアや技術の差が出る可能性がありますが、機能は変わらず、ただ下に垂らすだけのタイプは現状ありませんから、どのフェイスシールドでも予防効果が期待できて、「どこの国の製品がいい」「どこのメーカーがいい」といった格差はほとんどなさそうです。あとは形状や固定方法についての好みや使用状況の問題。

もう製品は十分出回っているように見え、だから、急速に使用範囲が拡大しています。

 

 

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