松沢呉一のビバノン・ライフ

貝印の脇毛より、脇毛YouTuberの脇毛を誉め称えたい—YouTubeで見る脇毛[14]-(松沢呉一)

先進国で毛に対するプレッシャーのない国は存在しない—YouTubeで見る脇毛[13]」の続きです。

 

 

 

脇毛はどこで出してもいいってものではない

 

vivanon_sentenceウイルスについて書いても読む人が減ってきてしまったので、だったら人気の定番である脇毛とカップリングにすれば読む人がいるだろと思って、「YouTubeで見る脇毛」シリーズを始めたのですが、前回はうっかりウイルスについて触れるのを忘れてました。愛する脇毛にまで「虚構の海外」を持ち込まれた腹立ちで本来の趣旨を見失いましたが、もともと無理矢理な企画なので、ウイルスなしでもいいか。

今回もウイルスはありません。ウイルスと脇毛のカップリングに異様に興奮するという方はお休みです。

前回書いたように、脇毛を伸ばす動機として、一般には「ナチュラルだから」「セクシーだから」というふたつの派閥に大別できて、私はセクシー脇毛の方がうんと好きです。エロいのが好き。

私にとってはエロですから、Facebookのサムネイルで脇毛を出すのにちょっと抵抗が生じます。陰毛に近い存在ですから、会社の食堂でわかめそばを食っている時に、うっかり見た方がいたら申しわけない。

でも、そんなことを言ったら、ウンコの話も金玉の話も食事時には適さず、私の存在自体が否定されますから、抵抗が生じつつも出します。

染色していると別物になりますし、見えるかどうか微妙ならいいのですが、飲食をするパーティで、わざわざ腋が見える格好をしているセレブの方々もいます。セレブは社会的メッセージとして出していることが歴然としているので、プロテストとしての脇毛になります。セクシーでも、ナチュラルでもどちらでもOKですが、しばしばプロテスト脇毛フェミ脇毛です。

マドンナの脇毛もセレブ系プロテスト脇毛です。マドンナ本人はセクシー脇毛を意識していましょうが、受け取る側はもっぱらプロテスト脇毛です。

プロテスト脇毛はむしろ公然の場でこそ生きます。あれらを「海外の人はふつーに出している」としか見られないのは脇毛リテラシーがなさすぎです。

その辺の見極めをしておかず、「脇毛はナチュラル」と勘違いして辺り構わず脇毛を出すと一生を棒に振りますので気をつけましょう。

貝印のポスターはメッセージと解釈して、Facebookでサムネイルに出しましたが、中途半端な表現なので、わかめラーメンを食べている人が見たら「ゲッ」と思ったかもしれない。すまん。

マドンナのinstagramより

 

 

脇毛YouTuberの長ねぎさん

 

vivanon_sentence私はあの同志社大学の調査に少なからぬショックを受けてます。「右ならえ」の人がああも多いのだとすると、「孤立した私が闘っている」ところを見せてもムダ。それが論理的に正しい、データ的に正しいってことを見せてもムダ。プロテスト表現がこの国では成立しにくくて、むしろその行動によって多数派につく人を増やしかねない。

それよりも周りにそういう人たちが多いことを見せる、知らしめることの方が大事です。御託はいらないので、「私は脇毛を伸ばしている」ということをそのまま表明する人が必要なのだと思います。

「セクシー脇毛」でも「ナチュラル脇毛」でも「プロテスト脇毛」でもなく、マイナー派閥である「オモシロ脇毛」の出番じゃないかな。面白いと受け入れられやすいですから。

では、今回はそういう人をご紹介です。

脇毛YouTuberの長ねぎさんは素晴らしいですよ。

 

 

 

 

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