治安部隊・国軍・国連軍による殺害だけでなく、民衆同士の殺害も頻発するハイチ—ポストコロナのプロテスト[124]-(松沢呉一)
「独裁政権が倒れても民主主義が機能しないハイチ—ポストコロナのプロテスト[123]」の続きです。
大統領はスウィート・ミッキー
ハイチ地震のあとの選挙でミュージシャンのスウィート・ミッキー(SWEET MICKY)ことミシェル・マテリ(Michel Martelly)が大統領になります(スペルからはマーテリーと読めて、そういう表記も多いのですが、実際の発音はマテリに聞こえ、ハイチではしばしばMartellというスペルも使用されています)。
マテリは人気が高かったのですが、廃止されていた国軍を復活し、汚職疑惑もあって、すぐにまたプロテストが始まり、プロテスターたちはマテリの辞任を求めます。
2013年。
この時も死者が出ています。
翌年も続きます。
これまでの動画でも見られますが、木の枝をもってます。あれでは武器にならず、なんのためだろうと思って検索したのですが、わかりませんでした。ブードゥーに関係する木があるようですが、手にしているのは何種かあるので、それとは違いそうです。
プロテストが激化する中、ローレンツ・ラモス(Laurent Lamothe)首相が辞任しますが、プロテストは終わらず。
2015年12月。
絵に描いたような死に方で人が死んどります。私もハイチのプロテスト動画では慣れてしまいました。人が死んで当たり前。
2016年2月、マテリも辞任して、政府不在の国家と言われます。
誰と誰が闘っているのか
以下のVICEをよく観るとわかるのですが、プロテスターが闘っているのは必ずしも政府ではありません。
反マテリとマテリ支持者が闘っていて、殺し合いをしています。国連軍はそれを止めようとしています。時にその国連軍も敵と見なされますが、始まりは民衆同士です。ここまで出てきた死者も、治安部隊によるものだけではなさそうです。
2016年2月、ジョスレルム・プリベール(Jocelerme Privert)が暫定大統領に。
2016年11月の大統領選挙で、ジュネヴェル・モイズ(JovenelMoïse)が勝利し、現大統領です。
以下はその選挙結果が出る前のプロテスト。もはや何のためのプロテストかわからない。なんのためのプロテストかわからないまま、人が死んでいきます。
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