松沢呉一のビバノン・ライフ

腹を出している人と陰毛を剃っている人とチックの人—そうしないではいられない人々[1]-(松沢呉一)

 

印象に残る人々とのすれ違い

 

vivanon_sentence一昨日、印象に残る人たちと次々にすれ違いました。

一人は夜の10時頃に路上ですれ違った人です。おそらく20代・女。クラブでDJでもやっていそうな雰囲気で、軽快に歩いてました。

なんという名称なのか知らないですが、腹の出たシャツを着てました。冬なのに白です。その上に米軍仕様っぽいジャンパーを着て、下はスパッツようなものだったと思います。スパッツは上げていたのでヘソは見えませんでしたが、腹は出てました。ジャンパーのチャックを閉じない限り、どうやっても腹が出る格好。

意識していないと気づきにくいですが、冬でも腹を出している人はけっこういるものです。

彼女のようなスタイルだとなおのこと意思がよくわかりますが、腹を出すことは自分の体の支配です。この季節だと腹を冷やして下痢をするかもしれないけれど、それより颯爽とした見た目を優先。戦前の家父長制道徳を頑なに守る狂信的原理主義者から「女がそんな格好をするのは性的対象物であることをアピールするあばずれだ」との攻撃をされるかもしれないけれど、戦前と違ってクラブではどうせ熱気で薄着になるので、その時の快適さを優先。

チャックを上げれば隠せますが、そんな道徳家たちに媚びる気はない。

タトゥを入れるのと同じで、それを女がやってしまうこと、さらにはそれを警察のような公的機関が認めてしまうことが気に食わないのが全国フェミニスト議員連盟です。こんな道徳運動がフェミニストと名乗れているのが日本という国の惨状です。

この時私は銭湯に向かっていて、銭湯では陰毛を全カットしている50代のオッサンを見かけました。自転車なり何なり、何かスポーツをやっていて、そっちからの流れかもしれないですが、この世代で陰毛を全カットしていたり、一部カットしていたりする人を見かけることが以前より増えているように思います。

おっさんたちも自分の体を支配しています。

※こんなに胸が大きくはなく、ウエストが細くもなかったですが、こういうシャツ。Amazonで1,980円。とくに名称はないみたいで、あえて言うならチビTか。

 

 

独り言の人

 

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脱衣場を出る時に、布を腰に巻いたおっさんが入ってきました。40歳くらいか。サロンと呼ばれるインドネシア等の民族衣装ではなかろうか。顔もそんな感じで、口ヒゲを生やしてました。

さっと腰巻きを脱いだら、下には何もはいてませんでした。ノーパン。正規でそういうものなのかもしれないし、銭湯に行くので、面倒でそうしていたのかもしれないし。私もこれから入るところだったら、詳しい話を聞こうとしたと思いますが、出るところだったのが残念。

 

 

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