死ににくいオミクロンの登場で新型コロナ騒動は終りかと思いきや—日本はどうなる?[上]-(松沢呉一)
オミクロン変異体では重症化にしにくく、死ににくいことが明らかに
1ヶ月ほど前にオミクロン変異体が出てきて、「もしかすっと感染しても死ににくいタイプでは?」と推測して、「オミクロン変異株は怖がるべきかどうかまだわからんよ—コロナとタクシー利用者」を書きました。
重症化しにくく、よって死ににくい可能性が高くても、あの段階では、それが何によってもたらされているのかまではたしかにわかりにくいので、なお「もう安心」とまでは言えないとして。南アではワクチン接種率は低いですが、感染者はワクチン接種済みの人に偏っている可能性もゼロではない。あるいは学校など若い世代を中心とした感染経路によって広がっている可能性もあります。それによって重症化率が低いのかもしれない。
そういった南ア特有の事情ではないことをはっきりさせるためには他の国でのデータも必要です。「データが揃うにはあと2週間はかかる」ということだったのですが、なかなかデータが公表されず、ここに来てやっと複数のデータが公表されました。どれを見ても、やはり「重症化率は下がる」という内容です。
「オミクロン変異体は抗体を回避して感染する能力が高く、よってワクチンの効果はこれまでより低い。しかし、デルタに比較して、重症化し、病院での措置が必要になる人は減る」ということを明らかにしています。
それでも感染者が多いと入院する絶対数は増えて医療機関の負担が増大するのが現在の問題であり、現にこれまでなかった急速な感染者の増大が現実のものとなってきて、過去最大数を記録している国も増えてますが、重症化する人は今まで以上に基礎疾患のある人や高齢者に偏る可能性が高いので、このグループのケアに力を入れて、若い健康体については感染しても放置でよくね?
と私は思ってしまうのですが、新型コロナに対してはずっとそうすべきと私は考えていたわけで、なかなかそうはいかないようです。
なかなかそうはいかない中で、少なからぬ国が人々の行動を再度規制し、ワクチンを繰り返し接種する方向に進んでいます。つってもこれ以上、経済が停滞するのは避けたいので、ロックダウンまではできず、当初は否定していたワクチンの義務化を実施することになりつつあります。
オミクロンの登場で「新型コロナは風邪と一緒になった」とまではまだ言えなくても、そっち近づいたとは言えるはずなのに、なんでこうなるかな。
※2021年12月21日に発表された南アの論文「Early assessment of the clinical severity of the SARS-CoV-2 Omicron variant in South Africa」
オミクロンでワクチンの価値が落ちたがゆえに回数を増やし、接種率を高めようとする人々とそれに反対する人々
クリスマスを前に世界中で、アンチ・ワクチンのプロテストが激化しています。
始まりは11月で、12月に入ってオミクロンの登場でさらに激化。
以下はインドのWIONがまとめたスペイン、イタリア、ドイツの先週末のプロテスト。
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