オランダ・フィンランド・デンマークが新型コロナ規制をほぼ撤廃—変われる国・変われない国-(松沢呉一)
デンマークで新型コロナに関する行動の規制のほとんどが撤廃された
デンマークでは、新型コロナに対する規制は飲食店の営業時間やイベントの入場制限などの一部を残しながらも、2月1日以降、ほとんどが撤廃となりました。公共の建物内や公共交通内でもマスクは不要です。
日本のこういう報道を見ていても、正確なことはわからず、誤解を多々生じさせてしまいそうですので、正確なことを説明しておきます。
タイトルの「オミクロン亜種広がっても」という文字を見ると、いかにも無謀なことをしているようですが、「オミクロンの亜種が広がって、感染力がさらに強化されても、重症化率は逆転して減少しているので、もはや危険な病気という扱いをする意味がなくなった」とデンマーク政府は決定しています。「オミクロン亜種広がっても」ではなく、「病毒性の低いオミクロン変異体が広がったが故に」とするのが正しい。つまりはインフルエンザと変わらない程度の病気になったということです。
もちろん、人はなお死んでます。高齢者と基礎疾患のある人たちが中心。だから、その人たちのケアに重点を置けばいい。
しかし、この報道では、デンマークの政府決定について、「ブースター接種が進んだことなどから」と説明していて、5歳以上の人口の8割以上が2回の接種を済ませているデンマークでは、たしかに重症化の減少と関係している可能性はありますが、今回の措置においてはさして重要ではありません。病気自体が「たいして危険ではなくなった」と政府が決定しているんですから。
また、北欧諸国は早くからワクチンの副作用に神経を使っていて、アストラゼネカ社のワクチンの使用をストップするなどの措置をとっていて。マグヌス・ホイニケ/デンマーク保健相はワクチンの副作用についても言及しており、「ワクチン礼賛」国家ではありません。
だから、ワクチンパスも撤廃であり、ワクチンを接種していなくても、ほぼ今まで通りの生活ができるようになりました。なんでそこを正しく報じないかな。せっかく日本は比較的新型コロナ対策をうまくやってきた国なのに、ワクチン信仰が強すぎではないか。
オランダ、フィンランド、デンマークの三カ国とそれ以外の温度差
英国も屋外でのマスク着用義務を廃止しています。英国同様、ワクチン接種を進めつつも、規制緩和に踏み切った国も出てきていますが、それらの国とデンマークはまた別。デンマークではもはやワクチンを重要視しない。
日本はワクチンのメリットのためには「副作用というデメリットはごまかせ」の国ですから都合が悪いのでしょうけど、自国の事情よりもデンマークで起きていることを正確に伝えるのが報道なんじゃないんか。その上で批判したいなら批判すればいい。
さらにいくつか補足をしておくと、デンマークでは昨年夏に規制撤廃を実現しているのですが、そのあとオミクロン変異体が拡大したために再度規制強化。しかし、重症化しにくいことがはっきりしたため、ふたたび2月1日から規制を緩和です。ぶれまくっているようにも見えるでしょうが、これは意味ある変換です。
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