松沢呉一のビバノン・ライフ

「スティーヴン・キングがロシアでの新規契約を停止」という報道を「メデューザ」で読んで考えた—経済制裁に関する疑問[1]-(松沢呉一)

ロシア将校戦死情報/ロシア兵がウクライナ行きを拒否/ブチャ虐殺に関与したロシア兵のリスト」の続きです。

 

 

 

「メデューザ」で知ったスティーヴン・キング情報

 

vivanon_sentence外に出る時、スマホを持ち歩かないことが多かったのですが、最近は移動中にスマホでロシアやウクライナのニュースサイトをよく読んでます。

以下の話は「メデューザ」で知ったのですが、うちのPCだとアクセスができないので、タス通信の英語版より。

 

2022年3月24日付「tass

 

4月に出る新作まではロシアで出版されますが、それ以降の新作の契約も、過去の契約の更新も当面停止するという通知がスティーヴン・キングのエージェントからロシアの出版社に届いたという内容。

タス通信でありますから、理由が書かれていないですが、ロシアのウクライナ侵攻に抗議するためです。

始まりはこの20日ほど前に遡ります。3月5日、カナダの作家リンウッド・バークレイは、ロシアでの出版をしないとツイート。スティーヴン・キングもこれに同調。

 

 

この通知がロシアの出版社に届いたってことです。

その動きに対して、「自分の読者が戦争を起こしたわけじゃなく、悪いのはプーチンなのだから、自分はロシアで出し続ける」という宣言をした作家もいたというのが「メデューザ」の記事でした。

この段階では私はどっちも尊重。出したくない人は出さなければいいし、出したい人は出せばいい。

 

スティーヴン・キングはプーチンに大層ご立腹

 

vivanon_sentence「どこで出すか」は書き手の専権です。「どの出版社から出すか」と同じく、「どこの国で出すか」も書き手が決定していい。米国だとエージェントが強いので、契約によっては、書き手だけでは決定できないこともあるでしょうが。

同じく「どこで出さないか」も書き手が決定してよく、「ロシア人読者で失礼なのがいた」といった幼稚な理由であっても、そうしたい人はロシアで出さなければいい。他人がとやかく言うことではないかと思います。

スティーヴン・キングは、Twitterでもウクライナ支持を鮮明にし、プーチンへの怒りや軽蔑をたびたびツイートしています。

 

 

普段は自分の写真を投稿しないのに、これだけは特別。

 

 

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