「住民監査請求監査結果」の読み方と住民訴訟の効果—Colabo暇空茜[傍流編12]-(松沢呉一)-[無料記事]
「Colabo批判派と擁護派の中身—Colabo×暇空茜[傍流編11]」の続きです。
「住民監査請求監査結果」の読み方
実のところ、「住民監査請求監査結果」の第一・第二章と第三章のつながりが正確にはわかリませんでした。
第3-5「結論」までのつながりがわからなくてここまで内容に踏み込めなかったのですが、以下の動画でやっとわかりました。長いし、くどいのですが、ムチャクチャわかりやすい。冒頭の30分くらいを聴けばだいたいわかります。
この失敗小僧さんは公務員として3回も会計検査を受けているので、大変リアルです。
ざっとまとめると、住民監査請求では、原則として、請求者(この場合は暇空茜)の主張の範囲で監査がなされます。監査委員はそれ以上のことは判断しない。民事裁判と同じ。ただし、民事裁判と違って、監査委員はその請求の範囲を超えて、コメントしていい。それこそが監査委員の仕事ですから。
今回、監査委員は「やらなくてもいいけど、やってもいい」ところまで踏み込みました。そこが異例中の異例。そんなことをやらずに、他のほとんどの監査請求と同様に「請求却下」でもいいわけですが、「請求人の主張には理由がない」としつつ、監査委員の判断としてColaboの精算は「妥当性を欠くものと言わざるを得ない」としています。そこで東京都に対して、やり直しを命じたのが結論部分の勧告になります。
つまりはColaboの潔白が証明されたわけでもなんでもなく、むしろ疑惑は深まったと言えます。かといって不正が確定したわけでもなく、その判断をするための調査をやり直せということであり、不正の可能性があるからこその勧告です。
仮に不正があったとしても、その法的責任は東京都にありますから、Colaboは「東京都に言われたままやっていただけ」とすっとぼければいいわけですが、監査委員が今回「一回当たりの支出が比較的高額なレストランでの食事代やホテルの宿泊代、また食事代とは理解し難い物品の購入代が 計上されている。さらに、宿泊支援費について都外遠隔地での宿泊代が計上されている」などと指摘した「不適切な経費」「妥当性を疑われる経費」については、それを認めた東京都とともに、実際に使用し、経費として計上したColaboもまた都民の非難を受けてしかるべきです。「無駄遣いをしてんじゃねえよ」と非難してもいい。
加えてColaboの依頼によって政治家が東京都に圧力をかけてチェックがザルになっていたとなれば圧力をかけた政治家とともにColaboもまた法的な責を負うことになります。音喜多駿議員がとっととと認めて謝ったのは賢明ですが、不正が確定した場合、彼がどこにどういう働きかけをしたのかの検証はなされるべきでしょう。場合によっては法的にアウト。
住民訴訟について
今回、検査委員が提出した「不当な点」を踏まえて(不正ではないですが、不当な点があったことを監査委員は認めています)、改めて住民監査請求をすれば認められる可能性は十分にあります。監査委員はその道筋を提示してくれたとも言えます。
暇空茜は、住民訴訟を狙っているようですが、その場合は監査委員の判断が不当、というより不法であるという主張になります。対して、もう一度住民監査請求を出す場合は今回の監査結果を肯定することになります。
失敗小僧さんは本日こういう動画をあげています。
住民訴訟は暴挙てあり、「やめろ」と言ってます。
今回の監査結果は、請求人の主張を形式としては蹴りながらも、内実を肯定したものであって、Colaboの精算はムチャクチャで、契約もムチャクチャと認めているのだから、形式として請求人は負けても、事実上は「請求人の全面勝利である」というのが失敗小僧さんの見方。
失敗小僧さんの感触としては、監査委員は相当に腹を立てているとのこと。やらなくていいことをやっている上に、公開しているわけですから。
「あまりに杜撰な内容だから」ということもあり得ると同時に、会計監査院の監査が入るという情報があったため、監査委員の責任を果たしているとのいわばアリバイなのかもしれないですが、どちらにしても、心情的に監査委員は暇空茜さんに対して、好意とまでは言えずとも。とくに反感はないはずで、それを裏切ることになる上に、十中八九裁判では勝てない。
ここも失敗小僧さんの指摘は納得できました。それとは別に新たな誰かが今回の結果を踏まえて監査請求を出し直してもいいのですが、監査委員としては「またか」になりそうではあります。
続きます。