ドローン攻撃で人は死んでないけれど、ロシアに与えたダメージは甚大—プーチンの居場所を狙われた?-(松沢呉一)
モスクワへのドローン攻撃の衝撃
大量のドローンによるモスクワ攻撃がショックでな。自分でも、なんでこうもショックなのかわからないくらいショック。
「ビバノン」にまとめることもできず、昨日はずっと各国メディアの報道を眺めてました。
以下はドイツDW。長いですけど、ここまでの要素はだいたい入ってます。
DWはさすがにイリヤ・ポノマレフに話を聞くようなマヌケなことはしてません。「あれは私が指揮している国民共和国軍がやった」と言ってくれそうですから、事実なんざどうでもいいダメダメな報道は重宝するわけです。
ウクライナが関与していても、「知らねえよ」と言うに決まっているとして、今に至るまで、誰がやったのか、どこからドローンを発射したのかもはっきりしない。
ウクライナ軍がウクライナ領土から発射したという説も強いですが、一方であのタイプのドローンはウクライナ領土からは届かないという指摘もあります。「だから、ロシア領内からの発射だ」とポーランドの軍事オタクが言ってましたが、しばしばドローンは改造が加えられているので、飛行距離が伸びたタイプもあるかもしれない。
ロシア自由軍かもしれず、ロシア義勇軍かもしれず、あるいは未知のパルチザン組織かもしれず。10万円で買える民生用ドローンではないので、まずバルチザンはないでしょうが、ロシア軍内部の反戦勢力によるものだとの説も出ています。一人や二人でできることではないので、もしそうだとすると、ドローン部隊まるごと関わってましょう。
さすがにプリゴジンがやったとの説は見つけてないですが、プリゴジンがやった理由を無理矢理ひねり出すことは可能かと思います。
プーチンの居場所を把握した上での攻撃か?
今のところもっとも正しそうな数字としては、全35機(または32機)、うち8機がモスクワまで到達、5機が撃墜され、3機が無力化されたということのようです。
そのため、プーチンはモスクワの防空システムが機能したと言ってますが、同時に民間の建物が破壊されたとしてテロと非難。おい、全機落としたのであれば、防空システムが機能して、その破片が民間の建物に落ちただけだろうが。すぐにバレる噓を言う。仁藤夢乃か。
そのプーチンの表情は冴えず、相当のショックを受けた様子です。戦勝記念日を前に、クレムリンにドローン攻撃があり、戦勝記念日は大幅に縮小され、ベルゴロドにロシア自由軍とロシア義勇軍が帰還し、アゼルバイジャンとアルメニアの首脳が自分の存在などないかのように言い争い、プリゴジンは国軍を罵倒し続ける。その上、大量のドローンの攻撃。防空システムが機能したと言っても、8機はモスクワに飛来。
ただでさえ気力をなくす事態が連発している上に、ドローンが多数落ちた辺りには政権幹部の家やオリガルヒの家があり、プーチンが住む公邸もあるため、やっと自分が何をしたのか、戦争とはなにかを実感したのかも。
これはただの偶然ではないかもしれない。
(残り 1529文字/全文: 2844文字)
この記事の続きは会員限定です。入会をご検討の方は「ウェブマガジンのご案内」をクリックして内容をご確認ください。
ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。
会員の方は、ログインしてください。
外部サービスアカウントでログイン
Twitterログイン機能終了のお知らせ
Facebookログイン機能終了のお知らせ