松沢呉一のビバノン・ライフ

農林中金の調査を見て納得した—日本食ブームとその本質[2]-(松沢呉一)

お好み焼きが日本食を代表する存在として扱われた時の抵抗感—日本食ブームとその本質[1]」の続きです。

 

 

 

農林中央金庫の調査に注目

 

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「お好み焼きは、日本料理を代表するに相応しいか」という疑問は、私の好みに左右されています。「好きだけど、そこまでのもんじゃない」ってことです。寿司やカレー、ラーメンは私にとっては10点満点で8点から10点の食い物です。毎日食うことも可能であり、1日2回食うこともあります。

対して、お好み焼きはせいぜい7点くらいで、「毎日食いたい」と思ったことはなく、「今日はどうしてもお好み焼きを食うぞ」と思い立つこともめったにありません。

その個人的な私の舌の問題でしかないので、あんまり人に言うべきではないと思っていたのですが、数日前に、毎年、農林中央金庫が調査している食に関する調査を眺めてました。

今年は4月27日に公開されていて、本年のテーマは「訪日外国人からみた日本の“食”に関する調査」です。

 

 

「この 10 年以内に日本に滞在したことのある世界5カ国の外国人を対象」にしたものです。具体的にはアメリカ、イギリス、フランス、中国、韓国の男女 1,200 人です。

日本に滞在したことがあれば、観光・商用を問わずに対象になっているのだと思われるのですが、そのため、国によってサンプルの質が違っていることが想像できます。具体的に言うと、韓国の回答が歴然と他と違っているのです。

例えば以下は「また日本に行きたいと思うか」の回答。

 

 

他の国は「とても行きたい」と答えたのが70パーセント台なのに、韓国のみ51パーセントしかいない。

日本食に対する満足度もあからさまに低い。韓国ではたいていの日本食は食べられ、とくに焼肉については日本で食べる必要があまりないため、日本に来る場合に食に重きがないということもあるかもしれないし、わざわざ日本に来ておいてなお悪意を発しているかもしれないですが、おそらく韓国だと、近い分、商用で来る人たちが多いのではなかろうか。あるいは親戚や友人を尋ねるとか。

観光だと日本に来たくて来ていますが、商用ほかだと日本に強い関心があって来る人ばかりではなく、中には「日本なんて行きたくねえよ」という人もいますから、日本食を積極的に食べない人もいるでしょうし、興味も幻想もないため、おいしさが減ずることもありそうです。おいしくても「まずい」と言う人もいるでしをう。

国別の違いを正しく分析できないので、調査としてはそこが惜しいところで、観光で来た人に限定して、条件を揃えた方がよかったんじゃなかろうか。

以下、国別の差は無視します。

 

 

気に入った日本食はダントツで寿司

 

vivanon_sentence以下はざっくりとした概要の一部。

 

調査の結果、料理に関連する設問の大多数において「寿司」が圧倒的な 1 番人気という 結果となりました。国別の傾向では、設問全体を通じてほとんどの項目で《フランス》が高 い回答率を示し、積極的にさまざまな日本の食に触れて親しんでいる様子がうかがえます。 個別の質問をみていくと、滞在時に食べた日本の料理は「寿司」(68.3%)が突出して多 く、初めて食べた日本の料理も、最もおいしかった日本の料理も 1 位は「寿司」でした(順に26.5%、19.4%)。(略)滞在時に食べた“日本ならではの食材”で、最も多かったのは「わさび」(49.0%)でした。このうち初めて食べた食材の 1 位は「松茸」(19.0%)、最もおいしかった食材の 1 位は「生魚」(13.9%)となっています。

(略)。「また日本に 行ったら何が食べたいか」も、1 位はやはり「寿司」(58.7%)で、不動の人気を示してい ます。いずれの国でも「寿司」が一番人気ですが、2 位は《アメリカ》《中国》は「ステー キ・焼肉」(順に 49.0%、38.3%)、《イギリス》は「天ぷら」と「鍋料理(しゃぶしゃぶ、 水炊き、あんこう鍋、ちゃんこなど)」(ともに 42.0%)、《フランス》は「ラーメン」と「焼 き鳥」(ともに 43.9%)、《韓国》では「ラーメン」(43.8%)など、国ごとの嗜好の違いが みられました。

 

前回書いたように、外国人の日本食への関心が「高級感のある料理から、庶民的な料理に」という流れが強まったのはここ数年じゃないかと思われて、それ以前に来日したことのある人たちの感覚と今現在の感覚は違いましょうが、それにしても寿司がダントツ人気。たぶん、たった今日本に来ている人だとラーメンの方が上位になります。

以下は「最もおいしかった日本の料理」。

 

 

 

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