松沢呉一のビバノン・ライフ

コミュニティノートがつくと左派は「右派の仕業だ」と言いたがり、右派は「左派の仕業だ」と言いたがる—個人の責任をごまかす人々-(松沢呉一)

Twitter「コミュニティノート」への期待と疑問点—間違ったノートがついた場合の処理」「法より、客観的事実より、データより、「私の感覚」が上位という仁藤夢乃の世界観—仁藤夢乃の発言は信用できない[余談編2]」から続きます。

 

 

コミュニティノートを機能させるためのブロック廃止

 

vivanon_sentenceX(Twitter)をほとんどやっていないくせに、コミュニティノートの効果は気になります。

私もXをやっていれば情報に不足や偏りは避けられず、ノートがつくことはありましょうが、背景情報がつけられたところで腹を立てる必要はない。ノートによってははっきり間違いであることを指摘していることもありますが、その指摘が間違っている場合は反論すればいい。というのがここまで書いてきたことです。

GIGAZINEが以前からコミュニティノート(前身のBirdwatchの頃から)についての記事を多数出していて、政治的偏りについての危惧は米国でもずっと出ていたことがわかります。ただし、右翼思想の持ち主が「ボランティアの左派的な活動家が私のツイートに不正確なノートを付けようとしている」と不平を言っていたりもするので(2023年7月13日付「Twitterのコミュニティノートは「正確な情報源」として十分に機能していないと内部告発者が指摘」)、左右問わず、独善的なタイプの人はノートがつくと、反対勢力に牛耳られていると言いたがるだけではないかとも思えます。

また、同記事にはこんな一文もあります。

 

右派的活動家のアンディ・ンゴ氏は「左翼的なユーザーはノートを付けられることを回避するためにブロック機能を利用しています」と主張。ンゴ氏の主張に対してマスク氏は、ブロック機能を完全に廃止することを提案しているとのこと。

 

イーロン・マスクが「ブロック機能をなくす」と言っているのは広告対策だとも見られていますが、ノート対策のブロックを回避する目的もあるのかもしれない。

思いつきで動く人なので、イーロン・マスクが何を考えているのかよくわからんですけど、ミュートは残すと言っているのは、ミュートであれば「協力者」が別アカを使わずにツイートをチェックすることができるためか。

私はTwitterを盛んにやっている時でもブロックしたことはほとんどありませんでしたが(ゼロかも)、ブロックする人は片っ端からやりますもんね。なのに、ノートがつくのは、やっぱり身内がノートをつけているケースがあるんじゃないですかね。直接批判すると、そういう人はキレてブロックしたり、逆恨みしたり、根に持ったりするでしょ。そこでコミュニティノートに食いついたと。

この記事のメインである内部告発はあくまで「コミュニティノートは十分ではない」と指摘しているに過ぎず、そりゃ完璧なものは無理ですよ。情報が人を殺すことだってあることを考えるなら、ちいとでも誤情報や誤読を抑制できればええんでないかい。

ずーっと繰り返しているように、「リテラシーを身につけよう」なんていくら呼びかけたって。ほとんど効果は期待できないのです。外からの力で情報の精度を上げるしかない。いくら出版社が書き手に「間違いを書かないように」と呼びかけたって限界があるので、校正や校閲が必要になるのと同じ。

コミュニティノートが今のところ最善の方法であり、これがダメなら別のアイデアを提示すべし。

 

 

ノートをつけられた人の反応6種

 

vivanon_sentenceノートをつけられた人の反応は、ざっと以下の6種に分かれそうです。

 

1)指摘に納得した旨を表明する人

2)指摘に納得して投稿を削除する人

3)指摘に納得せず、再審査を求める人

4)指摘に納得せず、公開で反論を試みる人

5)内容には触れず、システムの不備を批判する人

6)無視

 

適切なノートがついたら1の反応が望ましい。「タダで校閲してくれてありがとう」です。適切とは思えないノートがついたら、3か4もあり。

6の無視も理解できます。「適切な指摘だけれど、わざわざ自分から重ねて説明するほどではない」とか「不適切だけど、文句を言うほどではない」ということで、あとは読んだ人の判断に委ねるってことです。

恥ずかしいので、黙って削除するのもまあしゃあないか。不正確な情報がそれ以上拡散しないだけでも上出来。

反論した上で、「こんなノートがつくのは、システムに欠陥がある」と展開することもあると思うのですが、再審査を求めるわけでなく、公開で反論するわけでもなく、「ネトウヨがやっている」だの「自民党が背後にいる」だのと言い出すのはあかんでしょ。根拠があればいいとして、そんなもん何もないっしょ。

 

 

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