Twitter「コミュニティノート」への期待と疑問点—間違ったノートがついた場合の処理-(松沢呉一)
コミュニティノートの是非
Twitterでは、コミュニティノート(以下、「ノート」と略す)が威力を発揮しているようですね。仁藤夢乃がYouTubeに活路を見出そうとしているのは、Twitterはもう自分の居場所ではないと悟ったためです。知らんけど。
私は目的がある時しかTwitterを見なくなっているため、ノートについての実感があんまりないのですが、使っていた時の経験から間違った情報が拡散されていく実感は十分にあって、ノートへの期待も十分にあります。
Twitter側からの説明を読む限り、おおむね賛同できます。
コミュニティノートは、Twitterでより正確な情報を入手できるようにすることを目的に作られた機能です。この機能により、誤解を招く可能性があるツイートに、Twitterユーザーが協力して背景情報を提供することができます。協力者はあらゆるツイートにコメントを残すことができ、十分な数の協力者がさまざまな視点から「役に立った」と評価すると、そのコメントがツイートに表示されます。
ノートは、結果、ファクトチェックとして機能することがあるとしても、第一の目的はツイートを読んだ人がより正確に判断できる情報の提示です。唯一絶対の事実を求めると終わらなくなりますが、「こういう情報もあります」と補足するだけなら、ツイートした人にとっても「ありがたい」という話。
よって、ノートがつけられたからと言って、必ずしもツイートした人が間違ったことを書いたと指摘するものではなく(そういう場合もありますが)、すぐさま憤慨する必要はありません。
ここはよく考えられていると思いました。
しかし、あくまで目的に賛同できるだけで、いくつかの疑問点があります。たとえば「ある特定の考えを持つ集団が大量に協力者として登録した場合、その考えに基づいて偏向したノートがつけられることを現行のシステムでは完全に防ぐことは難しいのではないか」、また、「つけられたノートに間違いがあった場合、再審査を申し入れることができることになっているが、誰がどのように判定し、どう処理するのかの方法が示されていない。よって、適切に処理されるかどうか不明」といったことです。
小池晃・共産党書記局長につけられたノート
まずうまく機能している例を見てみましょう。
小池晃・共産党書記局長の場合。
日本共産党の小池晃書記局長は、保険証によるなりすまし被害が発生しているとする河野太郎大臣の発言を批判する報道を引き、「確かに聞いたことありませんね」と投稿。
しかし、小池氏の選挙応援演説を行った人物が会長を務めていた団体が、偽造保険証を使った野球場の施設利用登録証詐取の疑いで逮捕者を出した過去がある旨のノートがつくと、小池氏は断りなく自らの投稿を削除してしまった。
——2023年7月21日付「日刊サイゾー」より
この記事には出てませんが、スクショが撮られていて、たしかにここにあるようなツイートにノートがつけられています。
この場合、「聞いたことがありませんね」というツイートは、小池晃個人が聞いたことがない事実を述べているだけなので、これ自体、間違っていないですが、たしかに「誤解を招く可能性があるツイート」です。
削除したのは、共産党幹部が聞いたことがないこと自体がまずいし、自身に近いところで起きていたことを知らなかったのもまずいという判断だったのかと思いますが、消すといよいよ話題になるので、自分の不勉強さを嘆き、以降、調べてからツイートするように心がける意味でも残しておいた方がよかったかもしれない。
これ以外の共産党関係者のノートやメディア関係者につけられたノートも、ファクトチェックとしては微妙なものがあるとしても、「誤解を招く可能性があるツイート」に対する補助情報としてはひとつを除いて納得できるものです。
※2023年7月21日付「日刊サイゾー」 Twitterの説明でも、この記事の本文でも「コミュニティノート」になっているのに、見出しでは「コミュニティーノート」になっていて、音引きが入っています。ノートをつけたい(笑)。
ノートが間違っていると判断できる例
ひとつの例外こそ、私の感じていた危惧が現実になったと言えそうな例です。
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