白塗りバンドが見せるファンタジー—ジャニーズ事務所のマネージメントとVTuberのマネージメント[10]-(松沢呉一)
「日清は今後「どん兵衛」CMにVTuberを起用するはず—ジャニーズ事務所のマネージメントとVTuberのマネージメント[9]」の続きです。
キズ「Bee-autiful days」
このところ、ホロライブ関連の曲ばっかり聴いていて、ボカロ曲も少しずつ覚えつつあるのですが、数時間前に公開されたキズの新しいMVをYouTubeがプッシュしてきました。さすがYouTubeはよくわかってらっしゃる。
VTuberの歌もいいけど、相変わらず来夢の歌はいいなあ。
このMVは大正時代に活況を呈した浅草十二階下の私娼窟を仮想してます。ウソです。歌舞伎町を出しているのは昨今の街娼とつなげているのかな。
芸妓や娼妓たち、あるいは夜鷹たちまでが首から上を白塗りにし、自分らも白塗りバンドであることの秘密に迫る曲です。人は醜い素顔を隠すことで美しく異世界に舞い、この世の人々を幻惑することができるのです。しかし、素顔を晒すことで、魔力は消える。そんな曲。知らんけど。
予定通り、轟はじめは友だちにVTuberだとバレた
今までは、タレントがスキャンダルを起こさないように私生活までを管理して、スキャンダルを起こしてもメディアを黙らせることができる大手の芸能事務所のタレントをCMやキャンペーンに起用するのが比較的安全だったわけですが、ジャニーズ事務所が安全圏から脱落。それ以外のタレントも、インターネットの時代にはいつ裏の顔がバラされるかもわからず、企業が起用するなら、顔を晒しているタレントよりも、VTuberの方が安全。しかも素顔を隠した存在の方が時に魅力的なのです。
というのがここまで書いてきたことですが、これだけVTuberが存在を知られるようになってくると、素の顔を知っている人たちがだんだん増えていきます。
周防パトラも親にバレたように、人気のあるVTuberの多くはバレるか、自分から告白するかで、家族は知っています。仲のいい友だちに言っているのもいましょうし、教えていないのに、友だちにバレたのもいます。VTuberの配信を観るのがこれだけ増えたら、声や内容で友だちだと気づくのはいます。
「轟はじめだったら、しゃべりさえすればバレる」と書きましたが、あのあと案の定、轟はじめは友だちにバレたことを報告してました。
ここで留まればいいのですが、そこから情報が漏洩することを防げないでしょう。
親が知るところになれば、自分の娘のグッズを大量に買ってきて、「これはうちに娘なんですよ」と近所や勤務先で配って親バカぶりを発揮するのもいるでしょう。若い部下は「ホロライブの誰々は会社の上司の娘さんなんだって」と言い触らすでしょ。言わないではいられないもんです
そのうち、SNSで高校の卒業アルバムを公開したり、実家の写真を出すのが出てきかねない。その場合は、とっとと訴えて、顔を出して商売しているわけではないタレントのプライバシーや肖像権はどこまで守られるかの判例を出してもらいたい。
ホロライブは生で手を出すことを全面禁止に
家族や友だちにバレることは避けられない。事務所がそれを防ぐのは困難です。親近者は下手なことはしないと信じるしかない。
問題は悪意を持った人たちに身バレすることです、困ったことに、VTuber自身、慣れてくると、「バレてもいいや」と思い始めるのがいます。その緩みが命取り。
ホロライブENのIRySがこんな報告をしてました。
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