松沢呉一のビバノン・ライフ

家から出ない生活でも身バレする時代—ジャニーズ事務所のマネージメントとVTuberのマネージメント[8]-(松沢呉一)

企業がVTuberとのタイアップを好む理由—ジャニーズ事務所のマネージメントとVTuberのマネージメント[7]」の続きです。

 

 

さくらみこに話しかけられなかった

 

vivanon_sentence

先日、さくらみこの夢を見ました。私の病はここまできたか。

会議室のような場所に人が集まっていて、その中の紅一点がさくらみこでした。髪はショートで、顔はほっそりしていて、私の知っているさくらみこと全然違います。化粧っけがなく、服装も地味で、上は着古した濃い紺のボタンシャツ、下は見えにくいのですが、たぶんジーンズです。

「いつも観てます」と話しかけたいのですが、さくらみことしてここに来ているわけではないので、いい気持ちはしないでしょう。そこには触れず、「寒いですね」と話しかければ、「そうだにぇ」と答えてくれるだろうと思うのですが、彼女は終始俯き加減で話しかけにくい。

きっかけを探しているうちに目が覚めました。起きてから大きな疑問が浮上。さくらみこらしさが微塵もなく、一言も発してないのに、どうしてさくらみこだとわかったんだろう。夢が始まる前に、誰かが「彼女はさくらみこだよ」と耳打ちしてくれたのでしょうか。

こんな夢を見たのは、以下の発言のせいです。

 

 

さくらみこの話をしていた彼らとて、髪はショートで、顔はほっそりしていて、化粧っけがなく、服装も地味で、上は着古した濃い紺のボタンシャツ、下はジーンズの女が自分らの後ろに立って耳をそば立てていても、まさかそれがさくらみこだと気づくまい。

そのため、「さくらみこを見た」とスマホで撮った写真を無断で公開されることもない。

しかし、こんなことを話しているのを聞いた彼らは「ああ、あの時に、オレらの後ろで盗み聞きしていた、髪はショートで、顔はほっそりしていて、化粧っけがなく、服装も地味で、上は着古した濃い紺のボタンシャツ、下はジーンズの女がさくらみこだったのか!」と気づいてしまうのではないか。

そんくらい気づかれたところで個人が特定されることはないですが、またどこかで見かけたら、「あ、さくらみこだ」とすぐに気づくかもしれず、そのまま後をつけるかもしれない。

 

 

ASMRの女王・周防パトラの近所バレ

 

vivanon_sentenceVTuberの存在が知る人ぞ知るだった頃であればさほど神経を使う必要はなかったわけですが、認知度が上がった今では、渋谷のスクランブル交差点を渡る3,000人のうち、2,000人は何らかの形でVTuberのことを知っていて。1,000人はVTuberのMVを観たことがあって、500人はホロライブを知っていて、300人はさくらみこの存在を知っています。一方、1,000人は岡田奈々の存在を知ってますが、MVを観たことがあるのは30人くらい。そういう時代。

リスナーは声をわかっているので、ホロメン同士で会って会話をすることもできない。実際、気をつけているようですが、人によっては気にせず、VTuberとしての名前やあだ名を呼ぶため、ビビったなんて話をよくしています。

複数でいなくても、轟はじめだったら、しゃべりさえすればバレます。轟はじめは食道を腫らして緊急入院しましたが、無事復帰。復帰してすぐに沙花又クロヱとゲーム対決していて、二人とも切れがいいので(轟はじめはしばしば聞き取れないですが、はっきりものを言う)、いい組み合わせでした。その沙花又クロヱは突拍子もなく字が汚いので、役所に書類を出すだけでもバレます。

また、特徴的な行動をとる人はバレやすい。ジャージ姿で一人でラーメンを食べている女がいたら大空スバルです。一人で牛丼を食べている巨乳がいたら白銀ノエルです。身長が公開されているので、そこで照合できます。こうなると、家も特定されやすいので、家の近所を避けてラーメン屋や牛丼家に入るしかない。

身バレが怖いのではなく、外に出るのが面倒で、コンビニ食や配達で済ませているのも多いですが、家に篭っていてもひょんなところからバレます。

個人勢の周防パトラの場合。

 

 

私はホロライブをマスターするまで、他に進まないことにしているのですが、周防パトラはASMRの女王として君臨していて、交流のあるホロメンも多く、コラボもしているため、無視できない存在です。

 

 

next_vivanon

(残り 783文字/全文: 2660文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ