松沢呉一のビバノン・ライフ

しぐれうい(9さい)の「粛聖!! ロリ神レクイエム☆」の虚構性は大空警察と同じ—ジャニーズ時代の終焉と新時代の幕開け[1]-(松沢呉一)

 

店の外まで響き渡る大空スバルの笑い声

 

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調子が悪かったので、出すのが遅くなりましたが、今回は本題に入る前の枕みたいなものなので、飛ばしてもいいかと思います。

 

一昨日の夜遅く、商店街を歩いていたら、大空スバル(ホロライブ2期生)の笑い声が聞こえてきました。居酒屋の中からです。

その居酒屋は、前面が昭和を思わせるガラスの引き戸になっていて、中を覗いたら、大空スバルの笑い声を出しているのはおばちゃんの客のようでした。

てっきり野球帽をかぶった少年ぽい女子がいると思ったのに、「なんだよ」とがっかりしました。

しかし、そこを離れてから、「なんで大空スバルじゃないと即断したんだろ」と自分の判断に疑問を抱きました。ヴィジュアルに撹乱されてますが、大空スバルの笑い方、話し方は、野球帽をかぶった少年ぽい女子よりおばちゃんによく見られるものです。店の前で人待ちをするフリをして、会話の内容まで盗み聞きすればよかった。「タイホー」とか言っていたかもしれない。

 

 

大空警察、好き。

VTuberに対して、「中の人はどんなんだろう」とそんなには考えないですが、その断片を街角で見つけると、「あ、大空スバルだ」と思ってしまうのを止められない。青い髪の女子を見ると、「あ、すいちゃんだ」と思ってしまうのを止められない

大空スバルはいつもあの調子で話しているかもしれないけれど、星街すいせいの中の人がふだんから青い髪の毛をしているわけではないでしょう。それでも現実が虚構に引っ張られる、あるいは虚構が現実に散りばめられる。

実写のドラマでもアニメでも、ファンが聖地巡礼をするように、こういうことは起きるのですが、頻繁な配信をしている分、VTuberは現実に侵入しやすい感覚があります。

 

 

しぐれうい(9さい)の「粛聖!! ロリ神レクイエム☆」

 

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数日前、しぐれうい(9さい)の「粛聖!! ロリ神レクイエム☆」を巡って、本人じゃないところで炎上。

 

 

どうしようもないお兄ちゃんお姉ちゃん」としているのは、現実を踏まえています。ジャニーズJr.の裸を楽しむお姉ちゃんもいますからね。

私も今までよく知らなかったのですが、しぐれういは、大空スバルのアバターを描いたイラストレーターで、ホロライブの周縁部に位置する個人勢。中の人は20代後半だそうですが、設定は16歳の女子高生。そのわりには落ち着いてます。

そのしぐれういが演じるのがしぐれうい(9さい)。このヴァージョンに「ロリコン」がいっぱい集まってきて、ロリコンらしいコメントをするので、しぐれうい(9さい)が「気持ち悪い」「刑務所に行け」と罵倒する。ロリというよりマゾプレイのようでもあります。

コメントする側も虚構の設定の中にいて、シャレでやっているのもいましょうし、本物のロリコンもいましょうが、どちらにしても虚構を楽しんでいるのであって、メタなのです。刑務所に行くのはペドであり、ロリじゃないですから、犯罪のうんと手前で予防啓発していると言えなくもない。

 

 

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