何人の芸人がテレビから消えるか—「女性セレクト指示書」で理解する松本人志[前編]-(松沢呉一)
宏洋の逮捕は納得しにくい
大川宏洋が名誉毀損で逮捕されました。軽率なところがあるので、もっと慎重になった方がいいと思ってましたが、若いうちからあんまり慎重になってもね。
名誉毀損で逮捕はめったになく、清水富美加(千眼美子)は著名人であり、宗教団体の広告塔ですから、宏洋が言っていることに間違いがあったところで、幸福の科学は言論による反論と名誉回復が可能でしょう。逃亡するとも思えず、逮捕する必要があったとは思えない。なんか背景があるのかなあ。
吉本興業も同じで、「週刊文春」を刑事告訴すべきとは思わないですが、本当に事実無根であれば、つまりすべてが捏造であれば、さすがに刑事告訴もありでしょう。しかし、そんなはずはないことはすでに明らかです。
にもかかわらず、今なお「強要があったかどうかはまだわからない」「『週刊文春』は決定的な証拠を出していない」と言っている人たちがいます。「同意があったか否か」という論点についてはその通り。
しかし、すでにメディアの、また、スポンサーの論点はそこにはなく、主たるテーマは「セックス上納システム」であり、そこにおいては「同意があったか否か」は二の次三の次です。どうやってもそうなっていたかもしれないけれど、こうなってしまった一因は吉本興業と松本人志の見通しの甘さにあったことはここまで見てきた通りだし、今に至るまで事実無根としたことの訂正もなく、ただただ対象を拡散するに任せ、このままだと、1ダースくらいの芸人がテレビに出られなくなりそうです。
芸人の層は厚いので、100人くらいテレビに出られなくなっても十分に代用はいて、穴埋めを誰がするかで、水面下での動きが激しくなっていそうです。元氣安や佐々木孫悟空ら、地下芸人たちにもチャンスが訪れるかも。彼らは高級ホテルに女たちを呼び出してハメ倒すようなことはしてないのでスポンサーは安心ですが、別の意味で不安がいっぱいですから、100人が消えても無理か。
✳︎2024年1月19日付「産経新聞」 清水富美加の名前を出していない報道が多い中、「産経新聞」は出しています。彼女が告訴したのではなく、彼女の件で幸福の科学が告訴したということか。
松本人志似の子どもがあちこちに?
さまざまな問題が噴出している中、私が「週刊文春」の第三弾で注目したのは、松本人志による「女性セレクト指示書」なるものです。「ユニクロ」「マクドナルド」「スタバ」「高校や中学の先生」「CA(ANA、JAL)」「人妻(子供なし)」、しかし、「茶髪」「モデル」「美容師」「のみや」「アパレル」「CA(LCC)」はNGといった内容。
本人が書いたものであれ、指示を書き取ったということであれ、最初は「シャレじゃねえの?」と思いました。アテンダー役の若手芸人に難題を出して、その結果に感心したり、呆れたりするゲームみたいなもんです。しかし、そのわりに面白味がない。
ちょっと面白いと思ったのは、子どものいない人妻が推奨属性に入っていることです。「俺の子ども産めや」というセリフにつながりました。托卵です。ずいぶん前に、知人の具体例をサンプルに、人間世界の托卵について書いたことがあります。
古い話なのでいい加減な記憶で書きますが、その知人はダブル不倫をしていて、ピルを飲んでいるというので、中出しをしてました。しばらく会っていなかったのですが、久しぶりに連絡があって「あなたの子どもを産みました」と告げられたという話。彼女は最初から計画通りに事を進めたようです。
表沙汰になることは稀ですが、夫が知らないうちに浮気相手の子どもを育てているケースは決して少なくないようです。喜多嶋舞の例もありますし、いくつかの国で、父子の血液を調べたデータもあって、たしか10%以上が不適合だったはず。今だと問題になるかもしれないですが、そういう調査であることを教えず、出産の際に調べたものだったと思います(この辺の記憶も曖昧)。
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