松沢呉一のビバノン・ライフ

ウズベキスタンでもアニメは大人気—外国人が感じる日本語のいい加減な難しさ-(松沢呉一)

 

新人ウズベキスタン人

 

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今まで出てきたコンビニとは違うコンビニで、また中央アジアっぽい顔立ちの店員がいました。名札は中央アジアらしさがないですが、顔はロシアの少数民族のような顔立ちです。モンゴル系ではなく、スラブ系少数民族。

聞いたら、やはりウズベキスタン人でした。

前に、ウズベキスタン人に「ロシアとカザフスタンは洪水で大変だよね。ウズベキスタンは大丈夫?」と聞いたら、「大丈夫」と言っていたことを書きましたが、この彼も「大丈夫ですよ」と言います。距離的には近いですが、あの洪水は単に雨量の問題ではなく、ダムの決壊が原因です。地図を見るとわかりますが、ウズベキスタンを避けるように川が流れています。

そんな世間話から始まって、彼自身について聞きました。彼は日本に来たばかりで、現在は日本語学校に通い出したところです。

「日本語学校を出たら、ITの学校?」

「ITか自動車か、どっちにするかまだ決めてません」

ウズベキスタンで引っ張りだこなのは、IT技術者とともに自動車の技術がある人材だそうです。ウズベキスタンでも日本は自動車の国として知られており、その国に留学すると箔がつきます。

「留学して真面目に勉強すれば高給を取れる仕事はたくさんありますが、とくに人気があるのはITと自動車です」

自動車の専門学校をたまに見かけますが、お菓子の専門学校と同様、たぶん留学生で成立してんだべな。と思って検索してみたら、生徒の半数が留学生という記事が出てきました。

 

 

うち何割かはウズベキスタン人か。

国に帰って就職して高給を得るなり、自分で起業するなりの目標がはっきりしているので、こういう留学生たちは犯罪に走ったりはせず、オーバーステイして不法滞在者になることもまずないでしょう。

 

 

「話す」→「読む」→「書く」の順で極めて難しくなる

 

vivanon_sentenceそれにしても、日本に来たばかりだというのに彼は日本語がうまい。今まで話したウズベキスタン人たちよりずっとうまい。

「ウズベキスタンにいる時から、勉強してました。最初はアニメでした」

王道。ウズベキスタンでも日本のアニメは大人気。アニメ好きが高じて、テレビで放映されないアニメを見るために、日本語を勉強。

「でも、日本語は難しい。話すことは簡単ですが、読むのは難しい。書くのはもっと難しいです」

これはよく言われることです。日本語は主語も助詞も省略していいし、語順もフレキシブル。「寿司、食べたい」でも「食べたい、ラーメン」でも通じますから、最低限の意思疎通はすぐにできます。

しかし、文字が多すぎて覚えるのが大変。

たいして考えることなく日本人は使ってますが、話すことと読むことと書くことで難易度が違うことは、日本語練習者たちがよく指摘していることです。

 

 

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