松沢呉一のビバノン・ライフ

中国と米国の竜巻きに無理矢理違いを見出す—中国人のマナーを鑑賞する[7]-(松沢呉一)

中国人にマナーを理解させるのは並大抵ではない—中国人のマナーを鑑賞する[6]」の続きです。

 

米国と中国の竜巻き比較

 

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中国の洪水はまだ序章—ロシアの洪水による放射性物質の漏出」に追記しましたが、予想されていた通り、広東省の豪雨・強風・雷・雹・竜巻・洪水はまだ続いており、むしろひどくなってます。とくに竜巻と雹が恐ろしいことになってます。

 

 

竜巻は逃げることが可能だし、時間的にも空間的にも限定的なので、そうは死なないものです。5名死亡、33名負傷という数字は正確かもしれない。いや、でも、中国だからな、もっと死んでいるかも。中国が本当の数字を公表するようになったら、世も末。

 

米国でも多数の竜巻きが発生。

 

 

60以上の竜巻きが起きて、3人が負傷。この負傷者は、ビルが倒壊が倒壊したため。これはしょうがない。堅牢な建物の中にいるのは懸命な選択ですが、鉄筋のビルが倒壊するくらいの破壊力があって、それ以外には負傷者が出なかったのは竜巻きの特性から考えて妥当です。

にもかかわらず中国で、少なくとも5名が亡くなったのは、それだけ広東省の竜巻きの威力が強かったとも言えますが、それとは別の理由も考えられます。

この動画でも確認できますが、毎度のように、遊園地に来ているような楽しそうな声が聞こえます。私も台風が来ると、胸の高鳴りを抑えられないですが、竜巻の下で人が死んでいるかもしれない時に歓声を挙げるようなことはしません。

 

 

中国人のマナー違反はマナーを知らないのでなく、行為の結果を予想できないことから生じる

 

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貴州省だったと思いますが、山火事が住宅に迫ってきているのを背景に、若者たちが踊っている動画があったことを思い出します。気が狂ったかと思いました。

自宅横の道が濁流となり、車が流れているのを眺めて、笑っていたじいちゃんはボケているのではなく、ある種の中国人の典型なのではなかろうか。その濁流がやがては自分の家にも侵入する可能性に気づけない。山火事が自分の家を焼く可能性に気づけない。竜巻がこちらに向かってくることを想像できずに、「オー」「ヒュー」なんて歓声を挙げているうちに逃げ遅れて死ぬ。こうして、死ななくていい人が死ぬ。

ヴェネツィアで、ゴンドラの上で自撮りをするために立ち上がり、注意されても耳を傾けようとしなかったため、運河に落ち、そうなると急に泣き喚く。あれも、自分の行動が何を招くかを考えられないことの結果と考えると納得できます。吊り橋を揺らして転落する中国人も同様。

桜の木を傷つけることで枯れる可能性まで想像できないのはやむを得ないかもしれないですが、その行為が周りの人々にどう思われるかを想像できない。中国人のマナー違反は、マナーを知らないのでなく、行為の結果を予想できないことから生じると考えた方が私には納得できます。

昨今、中国がボロボロになっていることを見て米国が強気になっていて、今なら戦争しても勝てると思っていそうです。戦争では先読みの能力が必要です。敵がどう出るか、天候や地政がどう影響するか、他国がどう出るかを正確に読む必要があります。そういう判断は上層部の役割ですが、それぞれの局面で、それぞれの兵士も判断が求められます。

この点では中国は戦争に弱いかもしれない。そういった判断ができない兵士でも数合わせにはなるので、死ぬことを前提として最前線に送り込めばいいし、この場合は多数の兵士がいればいるほどいい。この戦法をとってきたのがソ連であり、今も取っているのがロシアです。中国も湯水のように兵士を注ぎ込む戦法をとりそうです。

 

 

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