楳図かずおの赤白セーターと早足の思い出—訃報二題-(松沢呉一)
サットンと韓国系YouTuber
サットンという韓国系YouTuberがタイで交通事故に遭って、1ヶ月間意識不明の末に亡くなったとのこと。
サットンさんのような韓国にいる日本人YouTuber、さんぷんちゃんのような日本にいる韓国人YouTuber、ジュジュさんのようなかつて日本に住んでいたことのあるYouTuber、日本に住んだことはないながら、日本向けに配信する韓国人YouTuberをまとめて、韓国系YouTuberと呼んでいるわけですが、韓国系YouTuberをよく観ている私でも、韓国系は数百という単位でいるので、サットンさんのことは知りませんでした。
数百という単位で存在している韓国系のうち、人気があるのは日韓カップルYouTuberらしいのですが、日韓カップルで画面に出るようなYouTuberは観たことがほとんどない。
また、女の韓国系YouTuberは3名を除いてほとんど観ない。女のYouTuberは美容やファッション、スイーツ、K-POPアイドルがテーマになることが多いですから、私に関係なし。ただのアイドル礼賛ではなく、業界の構造までを取り上げるなら観ますけど、こういう視点のある女のYouTuberは観たことがありません。
サットンさんはどんな内容を配信していたんだろうと気になって、チャンネルをチェックしたのですが、ショートを除いて動画は消したようです。亡くなったからこそ、生きていた証を残しておこうと考える遺族と、思い出してしまうので、残しておくのは辛いと考える遺族がいそうです。
シュートを観る限り、韓国語に関するものばかりです。韓国語の自動翻訳は精度あまりに低いので、読めるようにしたいと思ったりしますが、会話はいいや。
「漫画家は早死に」は必ずしも正しくない
いつも書いていることだし、この間の「生き違い新聞」第2号でも、そんな話をしましたが、人間、60年も生きていれば、あとは付録。あればあったで得した気分ではあれ、あってもなくてもいいもの。
そうは言っても、楳図かずおが亡くなったことを知って、少なからず動揺しました。88歳であれば、漫画家としては十分長寿であって、同世代で存命の漫画家はつのだじろう(楳図かずおと同じ1936年生)とつげ義春(1937年生)くらいか。
手塚治虫は1928年生、寺田ヒロオは1931年生、吉田竜夫は1932年生、藤子・F・不二雄は1933年、藤子不二雄Aは1934年生、横山光輝は1934年生、赤塚 不二夫は1935年生、石ノ森章太郎は1938年生で、全員、他界しています。
その次の世代の印象がある、ちばてつやは1939年生、川崎のぼるは1941年生なので、そんなには変わらないですが、ふたりとも存命です。
少女漫画でも同世代がいるかと思ったのですが、24年組(1949年前後生まれ)ってくらいで、少女漫画の第一世代は10歳程度年下で、おおむね存命。
してみると、「漫画家は早死に」というイメージは必ずしも正しくなく、過労死で早く亡くなるのがいるだけで、激務の時期を超えると、無事付録期を迎えてます。
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