『それ〜それがやって来たら…』 完全無欠のパクリ案件!中国や韓国のパクリ物件を見て喜んでいる人々に、元祖パクリ大国日本の誇りを見せつけてやる!(柳下毅一郎)
『それ〜それがやって来たら…』
監督 沖田光
脚本 沖田光、近藤紫乃
撮影 カツヲ、嘉本哲也
音楽 山根美和子
出演 平松可奈子、椎名ひかり、いしだ壱成、奥居元雅、岩崎う大
たいていの映画には驚かなくなっているぼくだが、さすがにこれは驚いた。完全無欠のパクリ案件である。中国や韓国のパクリ物件を見て喜んでいる人々に、元祖パクリ大国日本の誇りを見せつけてやる、と言わんばかりの立派なパクリ映画。
もちろん元ネタは『IT/イット“それ”が見えたら、終わり』で、ご丁寧にポスターまでそっくり。スティーブン・キング先生もさぞかし驚いておられることだろう。中身はキャンプ場の子供たちが白塗りのピエロみたいな格好したいしだ壱成に襲われるというお話。いしだ壱成の生活苦ばかりが想像され、たいへんわびしい気持ちになるホラーである。で、なんか貧相なアイドルくずれみたいな女優が出てて、どうせAKBとかだろ……と思ってたら元SKEとかなんとか。どこからどこまでも日本映画の暗部を煮しめたような作品なのだった。
まったく、どんな神経してたらこんな映画作れるのか……とほとほと呆れたが、予想どおり金もないらしくほとんど照明もない真っ暗な世界で、どこでダビングしてるのかセリフにも妙なエコーがかかってるという強烈な代物。そこで延々といしだ壱成がキャハハハと笑っているというね……どれほど志が低かったらこんなものを作れるのか? と思って見てたら製作会社の名前が有限会社コピーライツ・ファクトリー! いやあ笑わせてもらいましたわ。
さて、絢香(平松可奈子)は友人に誘われて子供たちのキャンプの指導員として参加する。全員ボーイスカウト風の制服を着ているのだが、胸に麻の葉のワッペンがついてるのがどうにも気になって……楽しく遊んでいる少年たちだが、一人少年ヒビキだけは浮かない様子だ。絢香が理由を訊ねても判然としない。遊んでいた子どもたちは道で倒れている少女を発見する。その少女、ミサキは過去の記憶が何もないという。だが彼女の顔を見た絢香は過去、子供時代の記憶がうずくのを感じるのだった。
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