『心霊喫茶「エクストラ」の秘密–The Real Exorcist–』 幸福の科学映画のターニングポイントか 初の興行成績第一位獲得! モナコ国際映画祭グランプリ! しかしもちろん映画は・・・
『心霊喫茶「エクストラ」の秘密–The Real Exorcist–』
製作総指揮・原作 大川隆法
監督 小田正鏡
脚本・主題歌 大川咲也加
撮影 芦澤明子
音楽 水澤有一
出演 千眼美子(清水富美加)、伊良子未來、希島凛、日向丈、長谷川奈央、大浦龍宇一、芦川よしみ、折井あゆみ
毎度おなじみハッピーサイエンス……と言いたいところだが、今回は一味違う。いろんな意味で幸福の科学映画史のターニングポイント的映画となった、いやなってしまったのである。ターニングポイントとはいかに。
1) 初の興行成績第一位獲得
コロナ禍の真っ最中に公開となった本作、かろうじて国内で映画館が開きはじめた週に公開となり、他にこの週に封切るまともな映画もなかったために、5/16(土)の週には興行成績一位を獲得した(興行通信社調べ)。まことに幸運というか悪運が強いというか……どんな事情があれ、めでたく幸福の科学の映画史上初の興収ナンバー1作品(三週連続)となったわけである。大ヒットである。
2) モナコ国際映画祭グランプリ
かねてから注目しているところの「日本映画が出品されるとかならずなんかの賞をとる映画祭」ことモナコ国際映画祭。今年2月に開かれた第17回映画祭には本作が出品され見事グランプリ、主演女優賞など四冠を獲得した。ハッピーサイエンスがモナコ国際映画祭の存在に気づいてしまったわけで、今後の展開が予想されるわけだが、それはさておき、本作は清水富美加嬢の女優人生で初の演技賞受賞作になったらしい。人生いろいろ……
3) 撮影 芦澤明子
個人的にはいちばんびっくりしたのはこれである。本作、制作がジャンゴ・フィルムであるためか、スタッフが驚くほど豪華である。撮影の芦澤明子は黒沢清との名コンビでおなじみの現役ナンバーワンキャメラマン。本作でもクロサワ仕込でギリギリまで明かりを落とし真っ暗な画面で悪霊を写すJホラー風味の撮影を展開し、大いに映画のレベルを引き上げている。さらには美術の丸尾知行、衣装の宮本まさ江といったあたりも大ベテラン。こんな人たちが幸福の科学映画で仕事してるって、日本映画界はどうなってるんだ!?
そんなわけでエポックメイキングといっていい一作なのだが、ここまでのエポックどれひとつとして映画の中身に無関係であることにお気づきだろうか? まあそうだよね。ドラ息子が抜けてからのハッピーサイエンス映画の退屈さについてはすでに口が酸っぱくなるほど言ってきたとおり。今回もエンタメとしては平坦すぎてどうなのかと言わざるを得ない。もちろんスタッフの頑張り含め見どころなしとはしないが……
「東京は世界一不思議な町である。思わぬところに心霊スポットがあったりする」というわけで舞台は東京の片隅五反田。住宅街の一角にぽつんとある喫茶「エクストラ」が物語の舞台である。「悩み事相談承ります」という小さな看板がかかっているこの店、もちろん無料相談につられて店に入ると本棚には『太陽の法』が並んでおりアルバイトのかわいこちゃんサユリ(千眼美子)に勝手に除霊されたうえに説伏されてしまう恐ろしいシステムである。この店、さらに恐いのはいつもレジ脇に座って子供向け『心霊図鑑』を読んでいるオーナー夫妻の娘。入ってきた客を見ては「あの人、水子霊がついてるよ」「あのお客さん、自殺霊がついてる」「あの人はもうすぐ死ぬよ」と勝手に霊視しまくる。こんな喫茶店は嫌だ!
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