柳下毅一郎の皆殺し映画通信

『SPELL 第一章 呪われたら、終わり』 話が難解過ぎ、セリフがよく聞こえず、展開が脈絡なさすぎてちっとも理解できない。 もう呪いの概念がよくわからない……

 

公式サイトより

SPELL 第一章 呪われたら、終わり

監督・脚本・製作総指揮 寺西一浩
音楽 のぐちとしかず
主題歌 寺西優真
出演 寺西優真、大村崑、國光真耶、宮城大樹、SIZUKU、原田翔太、GOD、北條透子

 

当ブログではおなじみ寺西一浩監督の摩訶不思議寺西ワールド、今度は心霊ホラーに挑戦である。主演はもちろん寺西優真だが、その祖父役になんと超ベテラン大村崑! さすがオロナミンC飲んでるだけあってお元気なのだが、問題は寺西ホラーのほうである。別に特殊効果もCGもあるわけじゃないので、ホラーらしいことと言って出てくるのは白いワンピ姿の少女くらい。で、特にうまいわけでもない(というかほぼ素人の)俳優たちが一軒家のセットの中でぼそぼそと喋ってるだけで話が進行していくのだが、この話が難解過ぎ、セリフがよく聞こえず、展開が脈絡なさすぎてちっとも理解できない。ひさびさに「ゴダールより難解」な映画見たよ……

 

 

豪邸に引っ越してきた水谷家。主婦の水谷良美(小林麻耶あらため國光真耶)が息子良太を連れて買い物からかえってくると、玄関前にある水の入ってないプールで、無口な少年は緑色の猿が木からぶら下がっているという気持ちの悪い絵を拾う。良美は気にもとめず家に入り、食卓に買い物の品を並べる。ふと目を離すとオレンジにナイフが刺さっている! 驚く良美! すると部屋の奥に白いワンピース姿の少女が立っているではないか!……えっそれだけなの!?と思うかもしれないが、マジでほぼこれだけの超常現象で、水谷家は呪われているのではと考え、テレビにも出ている有名な霊能力者馬飼野紀代子(北條透子)に連絡するのである!

ところがぎっちょん、電話を受けた息子馬飼野俊平(寺西優真)は、母に告げずに自分一人で依頼を引き受けてしまう。紀代子、夫(俊平の父)の交通事故死を予見できなかったことからすっかり自信を失い、霊媒業もやめると引きこもってしまったのだという。「だいじょうぶ、ぼくも霊能力はありますから!」と自信満々で水谷家に乗りこんだ俊平。水谷家の面々と面談する。

「え、テレビに出てる人じゃないんですか?」と露骨に失望する夫水谷猛(宮城大樹)。猛は狭い道を一方通行で暴走してきた見慣れない車にはねられて大怪我を負い、車椅子に乗っている。

「これも呪いでしょうか?」と問う猛に、「呪いだとしたら、この家についているのではなく、人についている可能性があります」と冷静に答える俊平……ってこれ呪いなの!? もう呪いの概念がよくわからない……

 

(残り 1683文字/全文: 2796文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

会員の方は、ログインしてください。

tags: GOD SIZUKU のぐちとしかず 北條透子 原田翔太 國光真耶 大村崑 宮城大樹 寺西一浩 寺西優真

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ