柳下毅一郎の皆殺し映画通信

『レディ加賀』能登地震、東日本大震災、コロナ禍の三度の危機を乗り越えてきた加賀温泉に能登半島地震。ぜひ加賀温泉に行きましょう!

公式サイトより

レディ加賀

監督 雑賀俊朗
脚本 渡辺典子、雑賀俊朗
撮影監督 百足尚浩
音楽 田渕夏海
主題歌 眉村ちあき
出演 小芝風花、松田るか、青木瞭、中村静香、八木アリサ、奈月セナ、佐藤藍子、篠井英介、森崎ウィン、檀れい

 

地方映画48都道府県リスト

 

劇中で「加賀温泉には過去三度の危機があった。能登地震、東日本大震災、それにコロナ禍」というセリフがある。その三度の危機を乗り越えてきた加賀温泉が、まさに今見舞われているのが今年元日に発生した能登半島地震と、それに伴う観光客の激減である。別に森崎ウィンが演じるインチキ町おこしコンサルタントに乗せられているわけではないが、加賀温泉郷に行かなきゃ!という気にさせてくれる意味ではタイムリーな公開と言えるかもしれない。なお、加賀温泉郷の女将たちによる町おこしは2011(平成23)年から「レディー・カガ」プロジェクトとして行われており、本作はそれにインスパイアされた映画版オリジナルストーリーであるよし。

 

 

少女時代からタップダンスに夢をいだき、騎士が剣を交える前で一人タップで踊るという奇怪なお遊戯を演じていたユカ(小芝風花)は、高校を出て上京、ミュージカル役者を目指すものの五年経ってもいまだ鳴かず飛ばず。そろそろ……というところで携帯電話が鳴る。

「……サト子さん?」

 それは故郷加賀温泉郷で旅館「ひぐち」を経営する母(檀れい)が倒れたという知らせだった。延伸された北陸新幹線に飛び乗ったユカ(そこはかとなくPR風味)だが、車中ではビールをらっぱ飲み。妙なナンパをしてきた男花澤ジョージ(森崎ウィン)からもらったビールでさらに酔い、加賀温泉駅に着いたときにはぐでんぐでんで、盛大にジョージにゲロをぶっかけてしまう。そのままぶっ倒れて、はっと目を覚ますとそこは実家の自分の部屋。キビキビと働く母の姿に一安心……てそもそも母が倒れたと聞いて飛んで帰ってきたのに、グダグダになるまで酒飲んでるってどうなのよ!? はじまる前からすでに信用できなくなっている主人公なのである。

 

(残り 1425文字/全文: 2345文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

会員の方は、ログインしてください。

tags: 中村静香 佐藤藍子 八木アリサ 地方映画 奈月セナ 小芝風花 松田るか 森崎ウィン 檀れい 渡辺典子 田渕夏海 百足尚浩 眉村ちあき 篠井英介 雑賀俊朗 青木瞭

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ