「ノンフィクションの筆圧」安田浩一ウェブマガジン

辻元清美事務所侵入事件を追う 男の目的は何だったのか


(写真:安田浩一)


(写真提供:辻元清美事務所)

 白いワイシャツ姿の男は、ひとつの細い線になって消えていきそうなくらいに華奢な体つきだった。

 警察官に付き添われて入廷した際に一瞬、品定めするよう傍聴席を一瞥しただけで、それ以降は裁判長を見据えたまま視線を他にずらすことはなかった。

 陰影の乏しい表情から、何かを読み取ることは難しい。だが、彼の発した低い声だけは、いまでも耳奥に張り付いている。自らを奮い立たせるような、断固たる響きが、そこにはあった。

 7月14日──立憲民主党の辻元清美さんの事務所に侵入したなどとして建造物侵入と窃盗未遂の罪に問われた大阪府箕面市の男(29歳)の初公判が大阪地裁(梶川匡志裁判官)であった。

 起訴状によると、男は今年3月1日の未明、高槻市にある辻元さんの事務所に窓ガラスを割って侵入、キャビネットなどを物色した。

 同事件以外にも、4月には茨木市の中高一貫インターナショナルスクール「コリア国際学園」に侵入し、段ボールに火を付けて1階フロアの床を焼損させたなどの罪でも起訴されている。

 これまでの取り調べにおいては、辻元さんに「危害を加えようと思った」と供述し、コリア国際学園に侵入した件も「韓国人の住所が書かれた名簿を学校から盗み、韓国人を襲うつもりだった」と話したことが報じられている。ヘイトクライムの疑いが濃厚だ。

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