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「『コーチ、昨日のブレックス見たよ! すごく良かったね!』みたいな会話は結構しますね」BREXスクールのインストラクター西鶴大輔インタビュー【無料記事】

BREXバスケットボールスクールグループ

インストラクター 西鶴大輔さん

 

スタッフさんのお仕事紹介! Vol.14

今回ご紹介するのは、BREXバスケットボールスクールインストラクターの西鶴大輔さん。中高時代からミニバスの子どもたちを教えるのが好きだったという西鶴さんに、現在のスクールでの指導ややりがいについて話を聞きました。(取材・文・写真:藤井洋子、すーさん)

 

◆#9 遠藤 祐亮選手とは赤ちゃんのときからのお付き合い⁈

――「西鶴」というのは珍しい名字ですね。

鹿児島の名字です。僕は千葉出身です。

 

――遠藤祐亮選手とは小中高が同じと聞きました。

小中高は全部同じですが、歳が離れているので同じ学校内で過ごしたのは小学校だけです。お互いの親が自衛官だったので、同じ自衛官の宿舎に住んでいた関係で家族ぐるみで仲良くしてもらっていたんです。遠藤選手とは赤ちゃんのときに遊んでもらっていました(笑)。

 

――遠藤選手のほうが年上ですね。

はい。兄がバスケットをやっていて、遠藤選手とは高校時代に一緒にやっていたので、それも家族ぐるみで仲良くさせてもらうきっかけでした。

 

――ブレックスで再会したのは偶然ですか。

遠藤選手がブレックスにいることは当然、知っていましたが、こっちに来るときに特に連絡することもなく来ました。僕が栃木に引っ越してきた初日にコインランドリーに行ったんですが、隣に自転車屋さんがあって、そこで僕が時間を潰していたら遠藤選手がご家族といらっしゃって。「え? なんでいるの?」みたいな話になりまして(笑)。

 

――すごい偶然ですね。入社されたのはいつですか。

2017年10月なので、今年で6年目になります。

 

――ブレックスが優勝したシーズンですね。そもそも西鶴さんがブレックスに来るまでの経緯を教えてもらえますか。

大学2年生までは選手としてプレーしていて、3年生の夏休み頃には学生コーチとして活動していました。大学卒業後もバスケットのお仕事がしたいなと思っていましたが、繋がりもなかったので難しいなと。それで一度は一般企業に就職をしているんです。千葉ジェッツの原修太選手は大学時代の同級生ですが、当時、原選手がプレーする千葉ジェッツの試合を応援しに行っていました。

Bリーグの初年度だったと思いますが、ブレックスと対戦することもあって、Bリーグはいいな、バスケットのプロの世界で働きたいな、という思いが再燃したんですね。それで当時、ブレックスのスクールコーチをしていた大学時代の友人に「どういう仕事なの?」と会話を重ねているうちに「よかったら一緒にどう?」という声をかけてもらいました。ブレックスはスクールにも歴史があるクラブなので、ぜひお願いしますと即決でしたね。

 

◆学生コーチとして広がった視野

――大学1、2年までプレーヤーで、そこから学生コーチになったときは気持ちをどう切り替えたのですか?

大学は推薦をいただいて入学したのですが、小中高と常にレギュラーだったのが、入学して1カ月後には一気にBチーム、2軍ですね。ポンと落とされて初めて挫折を経験して、もうバスケット辞めようかなと思うくらいまで落ちてしまって。それでも辞めずに頑張って1軍に行ったり2軍に行ったりを繰り返していた2年間でした。

一方で、もともと中学生や高校生のときから休みの日にはお世話になったミニバスのチームで子どもたちを個別で教えることは好きだったので続けていたんです。それで、自分が大学3年生のときに大学の監督さんのほうから「コーチとしてやってみないか?」という話をもらって、直感的に楽しそうだなという感覚がありました。その日に即決してAチームに学生コーチとして入ったという形ですね。

 

――選手としては一区切りしたのですね。

3年生のときは選手とコーチを兼任することもありましたが、4年生からはコーチをメインにやるようになりました。僕がコーチになって思ったのはコートに立って見えるものと、コートの外から見えるものが違う、という新たな発見でした。作戦ボードを使って何か指導したのかといえば、そうではないのですが、交代で下がってきた選手にアドバイスすることなどが新鮮で楽しかったんです。

3年生のときは1個上の先輩になかなか言えない言いづらさはあったのですが、先輩が「気にしないでいいから言ってよ」と言ってくれたり、同学年の選手から「今のプレーどうだったと思う?」と聞いてくれたり、そういうアクション自体がうれしかったですし、逆に、僕の中になかったバスケットの見方を知ることができたのも良かったと思います。

 

◆スクールではまず“人間性”を重点的に指導

――今、スクール生はどのぐらいいらっしゃるのですか。

全部で39クラス、今日時点(今年7月時点)で725人が在籍しています。ブレックスコートでのスクールが週5、あとは大田原、足利、小山、上三川などで開催しています。カテゴリーはU-8U-10U-12U-15U-12選抜クラス、U-15選抜クラス。カテゴリーなどはご要望をいただきつつ、コーチの人数や運営ができるかどうかも考えながら少しずつ増やしているという形です。

 

――コーチは今何人で指導されているのですか。

スクールをメインで指導しているコーチは5人です。あとは大学生や社会人の方のアルバイトでサポートに入ってくれている方が10名ちょっとという形ですね。

 

――西鶴さんが主に指導している対象について教えてもらえますか。

小学生の高学年がメインです。あと、スクールにはU-12選抜とU-15選抜という二つの選抜クラスがあり、トライアウトを受けて合格した子しか入れないU-12選抜クラスを担当させてもらっています。

 

――指導内容などで心掛けていることはありますか。

もちろんバスケット自体はしっかりと教えるのですが、大前提として、しっかりと挨拶をすることや整理整頓、仲間に対する声掛け、そういった人間性を指導するところは特に力を入れています。保護者の方々にアンケートをとると「すごくありがたいです」という声もいただいていて、スクールのコーチ陣には「バスケットのスキルだけを教えるコーチにはならないように」という共通意識があります。

 

◆スクール中は子ども全員と満遍なく話すことを意識

――人間性に力を入れているのはなぜでしょう。

今は700人超のスクール生がいますが、その中には今はバスケットをやっているけれど違う夢を持っている子がいたり、バスケットのプロの選手になりたい子がいたり、ブレックスの選手になりたいという子もいたりするのですが、どういう道に進もうとも必ず人間性が大事になるので、バスケットの指導を通しながら人間性を育み、人として成長していけるように、という部分には拘っています。

 

――挨拶、礼儀、仲間との関わり方などを大事にしているのですね。

体育館に来たらメインのコーチだけではなく、アシスタントの大学生やコーチにも必ず挨拶するところから始まります。整理整頓でいえば、靴を揃えたり、自分の荷物をまとめたり、道具を大事にしたり、ちょっとした身の回りの整理も大事にするように子どもたちに促します。バスケットをすぐにやりたいからと荷物をポンと投げてシュートを打ちに行ってしまうのではなく、しっかりと自分のバッグのチャックを締めてからコートに入っていく、といった細かい部分ですね。それは田臥選手なども普段からよくやっていることなので、子どもたちには「田臥選手も実際にやっているんだよ」と伝えながら意識してもらっています。

あとは、しっかりと時間を守ることも大事にしています。練習と休憩時間をタイマーでセットして、休憩の終わりを告げるタイマーが鳴る前までにコーチの前に集まるとか。それから、バスケットボールができていることへの感謝の気持ち、親への感謝の気持ちをしっかりと持つことも、繰り返し伝えていることの一つです。習慣化するように何回も繰り返しながら伝えていますね。こういう指導の指針というのは、僕が加入する前からずっとブレックスのスクールとして大事にしている部分でした。

 

――それらを踏まえて、西鶴さんが特に意識していたり心掛けたりしていることはなんでしょうか。

ひとクラスは約20名ほどですが、スクールが始まる前の30分、それからスクールの90分の間で必ず全員に声を掛けることは意識しています。「今日学校どうだった?」「疲れているね、大丈夫?」など、雑談でいいと思うのですが、これが結構大変なんです。ときどき、あの子にもっと話しかければよかったなあと思うことがあるので、まだまだだなあと思います。

 

――名前を呼んであげると嬉しいですよね。

そうですね。子ども同士が初対面のときもあるので、コーチが名前で呼んであげたほうがみんなにもわかるし、子どもたちも「コーチはもう名前覚えてくれているんだ」と信頼関係も生まれると思います。

 

◆スクールの子どもたちにもあるブレックス愛

――インストラクターとしてのやりがいはどこに感じていますか。

言われてうれしいのは「バスケットが楽しくなった」「もっともっとバスケが好きになった」という言葉ですね。子どもたちをうまくさせることは僕でなくてもできると思いますが、もっと好きになるとか、もっとうまくなりたいとか、そういうモチベーションについて前向きな変化が生まれた、と言ってもらえるのはインストラクター冥利に尽きます。

一方で、チームで活動しているとどうしても勝ち負けがフォーカスされる分、勝つことが目的になってしまうと苦しくなってしまう子どももいます。そうした状況から、スクールでは本来あるべき、バスケットを楽しむ、もっと楽しみたい、という心境に変化していくところに寄り添えるので、この仕事の一番の醍醐味かもしれません。

 

――西鶴さんはジュニア年代の指導をされていますが、その上のカテゴリーであるU-15やU-18といった年代は、トップチームに加入することを目標にしているのですか。

そうですね。U-18からは、例えば、特別指定選手になってトップチームにコールアップされるようにしたいという考えがあります。その下の年代のスクールもU-18まで上がっていくことを目標としてやっていますし、U-12選抜やU-15選抜にいる子どもたちがU-18にそのまま上がっていくこともあります。

その場合、ブレックスに必要な選手として人間性の部分はしっかりと育まれていますから、「スクールで頑張ってきた選手を積極的に吸い上げて指導していきたい」ということはU-18のコーチ陣からも言われています。この23年はスクール出身の子どもが毎年23人はU-18に上がっていっていますね。

 

――スクールではあるけど競技性のほうもしっかりと重視しているのですね。

U-12選抜クラスやU-15選抜クラスに入っている子どもは、その先のU-18、さらにトップチーム入りを目指している子どももいます。スクールのレギュラークラスでもバスケットを楽しむだけではなく、戦術まではいかないものの、チームプレーやチームでプレーするときに必要なことを1個高いレベルのメニューを入れながらやっています。

 

――U-18から大学に進学してしまうと栃木に戻ってくるのはなかなか難しいですよね。

そうですね。名古屋DさんなどはU-18の選手を育成指定枠としてトップチームのベンチに入ることもありましたが、多くの場合は、大学に進学してからトップチームの特別指定選手になるケースがほとんどだと思います。

 

――そうなると大学に進学したあとに別のチームに獲得されてしまうケースもあります。

そうですね。ただ、いろいろなチームから声が掛かったときに「ブレックスのU-18やスクールにいたからブレックスに帰ってきたい」と思ってもらえることも多く、それは嬉しいです。

昨年、筑波大学に進学した星川開聖選手は当時、U-18があまり活動できていなかったので一度京都の洛南高校に行きましたが、洛南高校の活動が終わったらすぐにブレックスのU-18の練習に来てくれて、後輩にアドバイスもたくさんしてくれていました。彼はまたブレックスでプレーすることを目標に今は筑波大学で頑張ってくれていると思うので、将来が楽しみな選手ではあります。

 

――スクールの子どもたちからもブレックス愛を感じるのですね。

スクールの最中も子どもたちが「コーチ、昨日のブレックス見たよ! すごく良かったね!」みたいな会話は結構しますね。コーチ陣としてもいろいろな技やスキルを教えるときには「遠藤選手はどういう姿勢でディフェンスをしているかな?」や、「比江島慎選手がよく使っているこういうステップを練習するよ」など、選手の名前を出すことがワクワク感につながると思うのでブレックスの選手の名前を出すことも多いです。

 

――スクールの子どもたちもアリーナで観戦しているのですか。

毎試合来ている子もいますし、公式グッズのTシャツを着て練習している子もいますね。保護者の方がブレックスのファンだったことをきっかけに、お子さんがスクールに入会してくれることもあります。

 

――すごく良い循環ですね。こういう指導者になっていきたいという指導者像はありますか。

まだそんなに深くは考えたことはないんです。今は週に1回だけU-18の活動にも関わらせていただいていますが、小学生の一人ひとりをうまくさせることが1番向いているのかなという感覚もあります。

U-12の年代はプレー面も、メンタル面も、ずっと言い続けていると、変わる瞬間に立ち会えるんです。今までだらだら練習してしまっていた子どもが急激に変わるとか、いきなりうまくなるとか、自信が付いたときの成長ぶりがはっきりと見えることを僕たちコーチ陣は知っているので、一緒に寄り添っているだけで楽しいと思わせてもらえる年代なのかもしれません。だからこそ、バスケットをもっと好きになる、もっとうまくなりたい、と思ってくれる子どもをもっともっと増やしていきたいという気持ちが1番にありますね。

BREXバスケットボールスクールグループのインストラクター西鶴大輔さん

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