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アルバルク東京は今季もCSで強いのか?

す今回は本日、5月13日19時5分から行なわれるCS準々決勝の島根スサノオマジックとのアウェーゲームに臨むアルバルク東京のプレビューです。

 

アルバルクはなぜ、CSのアウェーゲームで勝ってきたのか。

 

詳しくは前回の記事を見てもらいたいが、アルバルクだけはBリーグの歴史上で唯一、CSのアウェーゲームでの勝利を2シーズンにわたって経験している。当時のチームにはそれだけ勝負所をわかっている選手やスタッフがいたということだろうし、当時のルカ・パヴィチェヴィッチHCがCSにチームのピークが来るようにマネージメントしていたという証でもある。

 

アルバルクがCSでの通算2度目と3度目のアウェーでの勝ち抜けを決めて優勝した201819シーズン終了直後、僕はパヴィチェヴィッチHCにインタビューする機会があった。その時点ではアルバルクだけが、CSのアウェーチームで勝利をつかんでいた。その理由をHCにたずねた。

 

すると、厳格なことで知られるパヴィチェヴィッチHCは表情を崩し、笑顔を見せた。

 

「それは知らなかった。とても光栄なことです」

 

そう切り出したうえで、なぜ、アウェーゲームで勝てるのかについて、パヴィチェヴィッチHCなりの分析を教えてくれた。

 

「私がとてもハードな練習を課していることは知っていますよね? それは選手の成長に必要なことだと考えているからですが、CSの期間中には練習量と負荷を減らしているんです。レギュラーシーズンでどのチームよりもハードにトレーニングしてきたからこそ減らせるのですが、これにはもう1つ意味があって。レギュラーシーズンと比べて、練習量が減れば選手のコンディションが上がる。だから、CSの試合に良いコンディションで臨めるし、それが良い結果を生んでいると思います」

 

Bリーグ初年度からのアルバルクをすべて知っている田中大貴によると、当時のパヴィチェビヴィッチHCの練習がもっともハードだと語ってきたのは、練習時間ではなく、練習のときにかかるインテンシティーと精神的なプレッシャーの大きさからだったという。

 

つまり、それだけ厳しい練習をレギュラーシーズンに続けているからこそ、シーズン終盤には選手としてもチームとしても成長しているということだろうし、その負荷が下がることでCS期間中は心身共に良いコンディションを保てるということなのだろう。

 

果たして、そうしたものは現在のチームにも受け継がれているのか。。510日のオンライン取材で安藤周人が、そのヒントとなるような言葉を残していた。彼は202122シーズンからアルバルクに加入した安藤の話はこうだ。

 

「自分が前にいたチームを悪く言うつもりは一切ないんですけど、(アルバルクに)来て思ったのは、やはり、「一人ひとりの姿勢がかなりプロ」というか、、バスケットに対する想い や練習に対する態度も、かなり違う。

 

僕はルカ(パヴィチェヴィッチHC)がいた時から入ったので、それはルカが残してくれたものなのかもしれないですけど、練習の態度1つもとっても、練習の強度も全然違います。練習中でも本当にやり合うというか……。

 

そういうことを普段からやっているからこそ、試合でバーンと当てられてもびっくりしないというか。だから、普段からやっていることを重要な試合で出せるのがこのチームの強みだなと」

 

安藤は名古屋ドルフィンズ時代にも琉球ゴールデンキングスとのCSでのアウェーゲームを経験している。そこではGAME1に勝ちながらも、GAME2とGAME3でホームチームに連敗して、敗退したこともある。

 

アウェーチームが結果や良いパフォーマンスをCSで残すことの難しさを現在のアルバルクでもっともよく知る一人である安藤のコメントには、逆に、重みが感じられるわけだ。

 

目下の関心事は、今シーズンもアルバルクはCSで強いのかどうかだ。

 

 そこで現HCのデイニアス・アドマイティスにCSのアウェーで勝つための秘訣をたずねたところ、510日のオンライン取材の回答のなかもっとも長く答えてくれた質問の一つとなった。そんな彼の考えを以下に紹介する。

 

「アウェーで戦う上で大事なのは、ホームチームを勢いに乗せないことです。一つ一つのビッグプレーで、ファンもそれに乗っかってホームのアリーナの(ホームチームを後押しする)雰囲気になります。

逆に、ホームチームにプレッシャーをかけたり、嫌がらせること(が大事です)。そして、彼らが普段やっているプレーをさせないこと。ですので、アウェーで戦うチームとしての規律を持つことと、ミスを減らすこと。この2つが大切だと思います。

ホームチームの方が、勝率などのアドバンテージがあると思いますけど、短期決戦ですので、心理作戦も、もちろんありますので。少しも気を抜かず、集中力を高く持ち、エネルギー溢れるプレーはあれそこで11つ、自分たちのプレー、自分たちのスタイルを最終的に持っていって、アウェーで2つ勝って、次のセミファイナルにコマを進めていきたいと感じています」

 

確かに、パヴィチェヴィッチ前HC時代には、アウェーゲームでの強さがあった。

 

では、今シーズンから指揮を執るアドマイティスHCの下でもその強さがカルチャーとして受け継がれていくのだろうか?

 

今夜の試合そこに着目してみても面白いかもしれない。 

 

 

*最後に、スペースに限りがある紙の雑誌では伝えられない、アドマイティスHCのこんなコメントを紹介する。

 

「けが人もいる中……ガードの岡本飛竜選手です。彼は短期契約で我々のチームに契約して、今まで本当に頑張ってくれました。同時に彼のエネルギーとエフォート(努力)です! これでチームにしっかりと貢献していってくれているのです」

 

 

 

 

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