Bをかたーる首都圏版。ミムラユウスケWEBマガジン

富樫勇樹は自信を本当に抱いてるのか? Bリーグ最多勝利記録樹立の意味を本人に直撃

 

 

 

千葉ジェッツは、56日の宇都宮ブレックス戦に92-89で勝ったため、シーズン最高勝率記録と、シーズン最多勝利記録を樹立した。それまでの勝率の最高記録は昨シーズンの琉球ゴールデンキングスが、勝利数の最多記録は2018-19シーズンのジェッツが持っていた。

 

優勝候補の最右翼であるジェッツのキャプテンである富樫勇樹は、節目のタイミングで、CSにむけて何を語るのか。

 

普段であれば多くのメディアからの質問を受ける富樫だが、あの日は宇都宮でのアウェーゲームということもあり、記者は僕だけ。だから、ゆっくりと話を聞くことができた。

 

そのなかで問われた自信についての富樫の答えとは……。

 

 

 

――どちらにころぶかわからないシーソーゲームでしたが、ブレックスとのアウェーゲームだったので、簡単な試合にならないと覚悟していたのですか?

 

「まぁね、連勝でこの試合を迎えているチームですし。あとは彼らにとってはホームの最終戦と言うことでしっかり気合が入って戦ってきたなと。こういうゲームになりましたけど、まずは勝って、最高勝率と言う記録を作れたのは良かったなと思います」

 

――コーチ陣があれだけ変われば、再建に時間がかかるのが普通です。それなのに、ジョン・パトリックHC就任1年目で、Bリーグ史上最多勝利&最高勝率をいきなり記録したのは偉業では?

 

「いや、むしろ、(新HCの求める戦い方が浸透するまでに)時間はかかったと思います。前半戦は上手くいっていないなかでも、勝てていた試合があっただけです。正直、落としてもおかしくない試合と言うのはたくさんあったかなと思うので。その中でも、しっかり勝って、その上で反省して、次につなげてこられたのは良かったかなと思います」

 

――試合内容が良くないなかでも勝ちを拾ってきた結果が、さらに良い結果を生んで、新記録につながったと?

 

「そうですね。やはり、チームとして全然良くない内容の試合だったとしても、勝って終わるのと、負けて終わるのとでは、大きく違うと思うので。そこは1つ、チームとしては、特に前半戦はそういうところで助かっていた部分はあるんじゃないかなと思います」

 

――原選手が、「今シーズンは勝つための大事なポイントをわかっている空気がある」という話をしていましたがそれも関係していますか?

 

「例えば、群馬戦の初戦。第4クオーターまでずっと流れが悪い中で、2、3点差までもっていって、接戦になり、勝ち切れましたよね。正直、あれは完全に負けゲームなので。相手のシュートも高確率で入っていましたし。

 

完全に相手のリズムで35分間プレイしていた中で、最後であぁやってひっくりかえせたり。もちろん、試合の最初から集中力を高く戦うのがベストなんですけど、毎試合、最初からうまくいくわけではないですし。僕らも手をぬいているわけではないですし、そういうことは長いシーズンにはあると思うので……」

 

――今日の試合で達成した最多勝利と最多記録最高勝率には胸を晴れますか? NBAの世界では90年代の黄金期のシカゴ・ブルズのシーズン最多勝利記録を、2016年にゴールデンステート・ウォリアーズが抜いたときには「偉業」とたたえられましたが……。今回のジェッツの最多勝利記録はあくまでも自分たちの過去の成績をやぶったにすぎないという感じでしょうか?

 

「いや、むちゃくちゃ胸を晴れます! だって、前回に記録を作ったときには、『当分はこの記録を超えないんだろうな』と思っていたので。1試合残して、その記録を超えられて。本当に…言葉では表せないですけど、めちゃ凄い記録だと思います」

 

――確かに天皇杯を含めれば、あのウォリアーズを超えるような驚異的な勝率ですもんね。

 

「あのときのウォリアーズで739敗(.890)とかで、勝率9割(.900)は超えていないと思うので。しかも、天皇杯を含めて、明日勝ったら606(.901)なのかな。(*最終的にはこの取材翌日の宇都宮戦には敗れたので今季の公式戦の成績は597敗。勝率はあのシーズンのウォリアーズをわずかに上回る.893に)いずれにしても、チームとして、ほぼ負けてないという…。

 

でも、ウォリアーズの話をされましたけど、彼らが最高勝率を作ったシーズンでは、結局、ファイナルで敗れているんですよね。それによってシーズンの記録が取り消されるわけでは無いですけど、優勝してこそ『本当に良いシーズンだった』と言えると思うので。最後までしっかり戦っていきたいなと思います」

 

――確かに201819シーズンにジェッツが当時の最多勝利記録を樹立したときにもファイナルではジェッツが絶対に有利だとみられていながら、アルバルク東京に敗れて準優勝に終わってしましました。あのときの教訓は?

 

「まぁでも、あのときは(ファイナルの試合方式が)一発勝負だったので。それと、今の2戦先勝(というルール)は違うのかなと。あの1試合の方式だと、序盤に良いリズムをつかめば、シーズンの調子は関係ない感じもあったので。1試合で決まってしまうときと、今は違うので。シーズンを通した力が出やすい(方式に)なったのかなと思うので……」

 

――2シーズン前のジェッツや昨シーズンのブレックスを見ていても、近年のBリーグはCSでの戦いを通してもっとも成長したチームが優勝している感じがありますが?

 

「まぁ去年に関しては、うちが東地区で優勝したとは言え、シーズンを通してのブレックスとの差がそこまであったかと言われると……。正直、ほとんどないと思っていました。

 

でも、今シーズンはまたちょっと違うかなと。チームに対する自信というのはね。昨シーズンよりは、自信を持って戦えると思いますし。あとCS6勝。優勝を目指してやりたいなと思っています」

 

 

 

こうした富樫の考えに触れれば、すでに獲得した天皇杯とBリーグ東地区のタイトルに加えて、Bリーグ優勝を含めた3冠を目指すと宣言している理由も、きっとわかるはずだ。

 

ジェッツにとってのCSは、513日の155分にティップオフ予定の広島ドラゴンフライズ戦からスタートする。

 

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ