Bをかたーる首都圏版。ミムラユウスケWEBマガジン

日本代表に美談はいらない。ジェッツ原が鳴らした警鐘と、背中で見せた覚悟

成長するために必要なのは美談ではない。覚悟である。

 

韓国代表との2連戦の1試合目。一見すると、美談になりそうな場面があった。

ただ、その場面の本質に目を向け、危機感を募らせ、課題を克服しようとする日本代表選手がいたという事実には大きな価値がある。

あの試合の第4Q(クォーター)残り40秒を切った時点、韓国ボールの場面で、日本は7点のビハインドを負っていた。富樫が井上にダブルチームに来るように強くうながし、プレッシャーを受けた韓国の選手から出されたパスを原がカット。最後はジェイコブスが決めて5点差に迫ったシーンがあった。

韓国の攻撃を受ける日本の選手たちⓒKBA

あれは、日本の選手たちが最後まであきらめない姿勢が見られたと美談に仕立てあげる余地のあるシーンでもあった。

ところが、試合後に原は「自分は代表歴が浅いので偉そうに言うつもりはないですが」と前置きしつつ、こう切り出した。

「もちろん、最後まで勝とうという姿勢を持って戦うのは大切ですし、今日の試合(韓国との1試合目)は良い経験にはなったと思いますけど……」

自身を含めてチーム全員が最後まであきらめない姿勢を持ったことについてはしっかり評価している。ただ、本気で上を目指すためには「あれは良いシーンだった」などとは言えない。だから、原はこう続けた。

「確かに、外からは『日本があきらめずに勝とうとしていた』と見られるかもしれないですけど、プレーの強度が終盤になってようやく高まってくるようでは、遅くて。あれを最初からやらないと。

明日の試合では最初からあれくらいハードにディフェンスをする姿勢を見せていけたらいなと考えています」

1日目の試合では69-76で敗れたⓒKBA

原がそう訴えかけたのは、日本代表チームがさらに成長するためにどうすべきかを真剣に考えているからだった。

メディアによって美談にされそうな“表面的な部分”に目を向けるのではなく、その背景にある“本質”に目を向ける。そういう選手がいるチームは成長できる。

 果たして、2日目の試合では、試合の立ち上がりにリードを許したものの、第1クォーターの最終盤に逆転。前日とは違って、力強いプレーを見せた日本が、8580で勝利をつかんだ。

1試合目以上の盛り上がりを見せていた2試合目のベンチⓒKBA

確かに、リバウンドへの意識や入り方を改善し、相手のピックに対して簡単にスイッチするというディフェンスでのルールに変更を加えたことが結果につながったのは間違いない。

 ただ、見落としてはならないのは、前日に原が指摘していたポイントである。つまり、試合を通して高い強度でプレーすることができたことが勝利の大きな要因となった。

 実際、2戦目の後に、ホーバスHCは前日からの変化を勝因に挙げている。

「今日は本当に良い試合ができたと思っています。昨日の試合の後半にも、昨日の試合の前半よりもエナジーがありましたけど……今日の試合ではそれにプラスして、さらにエナジーを出すことができました。チーム全員がレベルアップしていると感じています」

キャプテンの富樫もこう振り返った。

 「フィジカルの部分も含め、強度のあるチームとしっかりと戦えたことは、本当に自分たちにとってプラスになったと思います」

ジェッツでも共にプレーする原と富樫ⓒKBA

日本は沖縄で開かれるW杯で、「アジア1位になって、パリオリンピックの出場権をつかむ」という目標を掲げている。そのためには、これからの1か月で大きな成長が必要になる。

 最後まであきらめない姿勢は確かに大切だが、日本を背負って戦うチームとして、それは当たり前のこと。

 大切なのは、一見すると評価できそうなことの本質に目をむけて、自分たちが成長するためのポイントを探すことなのだ。

 それほどまで成長に躍起になって初めて、困難なミッションを乗り越える可能性が出てくる。アジアで1位になるというのは決して簡単な目標ではない。

 

そして——。

2日目の試合で大活躍した原と川真田ⓒKBA

原はそのなかで有言実行の活躍を見せた。

 1日目の試合後の取材の終わりに、チームを背中で引っ張るようなプレーを見せたいのかを問うたとき、原は確かにうなずいた。

 2日目の試合では、チーム最多となる14得点と、2つのファーストプレイクポイントを記録して、代表チームをけん引した。とりわけ、彼が第1Qだけで8得点をたたき出したことは、立ち上がりに苦しんだ日本が第1Qが終わる前に逆転する上でのキーとなった。

 チームとして成長していくという覚悟を持った選手の、気概がはっきりと伝わるような活躍だった。

 このような想いをもったパフォーマンスの積み重ねによって、チームが成長していくことを忘れてはならない。

ⓒKBA

*写真提供:Korea Basketball Association

 

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