トーキング・ヘッズ『Life During Wartime (戦時中の生活)』 ・・・もうパーティーも、ディスコにもいけない。いつ僕らはこんな生活から解放されるんでしょうね
トーキング・ヘッズのデヴィッド・バーンは変わった人だ。あまり政治的でないようで、とっても政治的な人だ。
政治とは何かと言うことを僕はよく理解していないが、彼は政治とはどんな構造をしているのか、解読したいと思うような人だと思う。
彼の著書『How Music Works 』とはまさにそういう本だ。直訳すると“音楽はどう機能するか”と訳せば伝わるでしょうか、こんなタイトルだから「眠る時にはブラームスがいい」「拷問する時にはデス・メタルが効果的」みたいなことが書かれた本かと思われかもしれないいが、まず書かれているのは音楽というのは演奏される場所によって変わってくるものだと言う説明から始まるのです。
CBGBのような小さな会場ではパンクのような音楽が気持ちよく聴こえるのだが、そんな音楽がスタジアムのような広い場所でやるようになると、ごちゃごちゃしていいように感じられない。そういう場所ではU2のようなメロディアスで歌いあげるような音楽でないと機能しなくなるのだ、というようなことが書かれている。
今EDMという音楽が流行っているのだが(だいぶ廃れてきているが)、まさにEDMと言う音楽は、テクノなどのアンダーグラウンドの音楽が大きな会場でやるようになって、歌謡曲のようなメロディに静かなブレイクとドンタン、ドンタンという強力なビートの組み合わせの音楽へ発展したことを裏付ける説明です。
普通の人だと「大衆はバカだからあんな歌謡曲のような音楽を好きなんだよ」と片付けてしまうことなんだけど、彼はそうじゃない、会場が音楽を作るのだと説明してくれるのです。民族音楽がどうして生まれたかの説明にもなる。さすが、誰よりも早くアフリカン・ミュージックを自分の音楽に取り入れた人である。そしてアルバム・タイトルに『モア・ソングス・アバウト・ビルディングス・アンド・フード』て名前をつけるだけの人のことはある。
このタイトルを考えたのはXTCのアンディ・パートリッジですが。当時、共産主義というか中国にハマって、中国人みたいに賢くなるには中華を食えばいいのかと中華ばっかり食っていたアンディとデヴィッドが音楽について話したといえば、きっとこんなことなんでしょうね。
そんなデヴィッド・バーンが政治的な歌を歌っているとやっぱりグッときます。
みなさん、心を噛み締めて読んでみてください。今のコロナ時代にも当てハマる曲です。どんな時代にも当てはまるか、いつ僕らはこんな生活から解放されるんでしょうね。コロナの後は、真っ青な空に何もない芝生が広がっているような気がしなくもないんですけど、また同じ生活が続くとしか思えないです。デヴィッド・バーンのように世界がどういう風に作られているか、解読していかないといつまでたっても僕たち奴隷のままですよね。
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