松沢呉一のビバノン・ライフ

「FREE THE NIPPLE」から「WE THE NIPPLE」へ—そろそろ刑法174条(公然わいせつ)と175条(わいせつ物頒布)を見直しませんか?[5]-(松沢呉一)

レッド・ツェッベリンの「聖なる館」がポルノに見える変質者たちとそれに屈服するFacebook—そろそろ刑法174条(公然わいせつ)と175条(わいせつ物頒布)を見直しませんか?[4]」の続きです。

 

 

 

フェミニストデモではないし、女性集団でもない

 

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運営に文句を言う場合はガイドラインに照らしてひとつひとつ丁寧に検討する。納得できないことにはひとつひとつ抵抗する。そうしていかないと、何もかもが猥褻表現、何もかもが差別表現にされてしまいます。

前々回見たFacebook本社に対する全裸抗議行動も抵抗のひとつです。日本国内の上品メディアはそもそも報じていないので、これ自体を知らなかった人も多いでしょうし、SNSで記事が流れてきても、「FEMENのようなフェミニスト団体がまたなんかやっている」と誤解した人も多いかと思います。そういう報道をしていた国内メディアもありますし。

 

 

2019年6年13日付「TOCANA」より

 

 

うーん、記事の内容はいいのですが、この見出しはないわ。「閲覧注意」としなければならない内容ではありません。こういうネタはそのまま出しても読まれないので、ワザを駆使するしかない事情は理解しつつ、事実誤認を生じさせかねないことは避けるべきかと思います。

あれは「ヌードの女性集団」ではありません。前々回出した全裸行動の報道を見た時、全員女だと私も思い込んでしまいました。一瞬ですけど。

 

2019年6月3日「AFPBBニュース」より

 

しかし、男のケツに敏感な私は、すぐに右の方に男たちのケツがあることに気づきました。厳密には男かどうかわからんわけですけど、この日の様子を伝える他の写真でも男の姿がチラホラ見えます。

「こういうことをするのは女である」という思い込みがあることに気づかされます。これはしばしば公開の場で裸を晒すのがFEMENなどのフェミニスト集団、あるいはミロ・モアレのようなアーティストであることと、「ヌード表現=女」という思い込みでしょう。どちらかと言えば、私の場合は前者が強い。

よーくケツを見た方がいいです。

それと、海外の報道もちゃんと見た方がいいです。

 

2019年6月3日付米版「RollingStone」より

 

 

反検閲活動家(anti-censorship activists)」になっています。実際にはアート表現に参加した意識の人たちも多いかと思われますが、趣旨は理解していましょうから、こういう表現の方が正確です。

 

 

Facebookへの全裸抗議はフェミニズムより幅が広い

 

vivanon_sentenceこの行動はフェミニズム文脈の「FREE THE NIPPLE」を踏まえてはいるのですが、また、フェミニストの参加もあったのですが、今回は「WE THE NIPPLE」であり、フェミニストデモではありません。

 

 

NCACのサイトより

 

主催はカメラマンのスペンサー・チュニック(トゥニックになっているものもありますが、動画を観ると、英語圏でもそれ以外の言語でもチュニックと発音しています)とNCAC(全米反検閲連盟/National Coalition Against Censorship)です。抗議であるとともにスペンサー・チュニックによるインスタレーション表現だったわけです。

賛同の団体や個人も。米国内外の美術館、博物館、アーティストの団体や個人、批評家団体や個人、学術団体や個人、大学等の教育機関や個人です。

以下はそのほんの一部。

 

 

 

なぜこうも多くの表現に関わる団体や個人が賛同したのかと言えば「ヌードというだけで猥褻扱いをして削除をするな」って趣旨だったからです。

 

 

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