始まりはラブホのノゾキ—オナニーを見たがるヘルス嬢 1-[ビバノン循環湯 214] (松沢呉一) -4,101文字-
「誰に自己投影して、誰に欲情するのか—田中美津インタビューの疑問点 7」に、ゲイ向けのAVでオナニーする女子がいることを書きました。彼女についての原稿を循環しておきます。
ヘルスで「オナニーをするところを見せてくれませんか」と頼まれたことは軽くネットに書いていたのですが、そのあとの話は長らく寝かせていて、メルマガ購読者限定のevernoteで初公開した原稿です。オリジナルは十年以上前に書いたもの。
オナニーをするところを見せてもらえないですか
センズラーという立場上、もっとセンズリしないとマズいんだが、ここ数年、体験取材が増えて、仕事の下調べやらおつきあいやらで風俗店に行くことも多く、センズリしている暇も精液もない。女じゃ斎藤綾子、男じゃ松沢というくらいで、スキあらばオナニーするので評判だった私が、最近は週に一回する余裕もないくらい。
なかなかチャンスが巡ってこないために、センズリまでが今までより楽しい。翌日に射精予定がない夜が待ち遠しくてねえ。
この間、初めて会ったヘルス嬢にフェラしてもらいながら、「出さなくていいよ」と言ったら、「うちでオナニーするんでしょ」と鋭く見抜かれた。
彼女はセンズリ理解者だったので助かった。「君では射精したくない」と言われているようで、落ち込むのがいるのである。誤解である。誤解だとは言い切れないかもしれないが、私の場合、相手がいかに魅力的でも、射精したい欲望はまた別なのである。
彼女は彼氏と一緒に住んでいるのだが、彼氏とセックスしてもイケないため、こっそり隠れてオナニーをしていて、「オナニーってホントにいいですよね」と水野晴郎調で語っていた。
その数日後、間もなく某店のナンバーワンになりそうなコと初めて遊んだ際にも射精しなかったのだが、シャワーを浴びながら、「このあとはどこに行くんですか」と聞くので「うち帰って、君のこと考えてセンズリする」と答えたところ、「今度、オナニーをするところを見せてもらえないですか」と頼まれた。これが本気らしいのである。
話をよくよく聞いたところ、「セックスをしまくっている」と答えることは恥ずかしくないのに、「オナニーをしている」と答えるのは恥ずかしいそうで、普段は「オナニーはしてない」と答えている彼女だが、「こいつには何言っても大丈夫」と思ってくれたようで、プレイルームに戻ってから、彼女は新宿二丁目で買った男のオナニー・ビデオをネタにしていることを教えてくれた。ステキな若者がセンズリしてますからね。出ているのはノンケだったりするし。
「セックスしているところを見るより、男の人がオナニーをしているところを見る方が興奮するんですよ」
しかし、彼女は男の生オナニーを見たことがなく、私がエロ本でセンズリするところを見たいと言う。
「じゃあ、今度お互いに見せっこしようよ」
「それはまた違う。見せっこはプレイになっちゃうじゃないですか。お店でも自分でこすって出すお客さんがいますけど、それはプレイですから」
※写真は本文と関係がありません。
ゲイ向けのオナニー・ビデオでオナニー
私は以前アメリカで流行っていると言われていたオナニーパーティの話をした。エイズに対抗してエロをやり続ける政治的なメッセージが込められていたと思うのだが、一切体に触れず、参加者はそれぞれにオナニーをするのである。
「それはそれで楽しそうだと思うけど、オナニーとは意味が違ってきそう。私はプレイじゃなくて、純粋なオナニーが見たい」
男でも、からみではなく、オナニーもののAVでしか興奮しない人たちがいて、その女版である。
「それ、難しいね。だって、君がいると、目の前の君に欲情してしまうよ」
「そうなると、なんか違うんですよね。ピュアじゃないです。エロ本でしてください。私の存在を消して欲しいんです。こっそり覗かせてください」
「でも、それを見て君も興奮するんだろ」
「はい、オナニーします」
「オナニーしている君が横にいるのに、それで興奮してはいけないというのは厳しいな」
「じゃあ、オナニーはしません。ビデオを撮らせてください。オナニーはあとでします」
「でも、よくよく考えると、ビデオだって、観られることを意識しているからな」
「そうなんです。問題はそこなんですよ。普段、そんなことは意識せずに、ビデオは楽しめるんですよ。気持ちよくないのに気持ちいいフリをしているわけじゃないじゃないですか。おちんちんが大きくなっているし、射精もするし。そこには噓がない」
「射精の瞬間に君もイクわけだ」
「そういう時もあるし、イク直前の表情とかに合わせることも多いですね。で、終わったあとの冷静な頭では、でも、“これは撮影している人もいるんだから、本当のオナニーじゃない。騙された”って気持ちになることがある(笑)。そこが以前から不満だったんです。本当に男の人がオナニーしているところの盗撮ビデオが欲しい」
「撮影を意識していない男のオナニーは地味だぞ。声を出すわけじゃないし、身悶えするわけじゃないし。ご飯を食っているのと同じようなもんだ」
「そうなんですか。ビデオでは“ああああー”って叫んでますよ」
「男が叫んでオナニーしていると思うのはビデオの悪影響だ」
「あれもいいんですけど、本物を私は追及したい」
「オナニー限定の覗きマニア」
「オナニーだけじゃなくて、覗きが好きなんですよ」
話が面白くなってきたのだが、時間が来てしまった。
なんとかしてくれませんか
慌てて部屋を出ようとする私に彼女はこう言った。
「あー、今までこの話は誰にも言ったことがなかったのに、遂に言ってしまいました。聞いた以上はなんとかしてくれませんか」
「そう言われてもだな」
「本気で言ってますからね、私。こんなこと、他の人には頼めないから」
顔が真剣である。
「初めて会ったのにね」
「なんか理解してくれそうだったから。こういうところに来て、射精しなくていいので家に帰ってオナニーするって堂々と宣言するお客さんはいませんよ。この人は仲間だって思いました(笑)。これ、仲間の秘密ですからね。他のお客さんや店の人が知ったら変態だと思われます」
「変態だと思うけど」
「私もそう思います。もっと話したいのでまた来てください」
「わかったよ」
ラブホの裏でオナニーをする女子中学生
私ももっと聞きたくて、後日出直した。
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