日本報道検証機構の解散と週刊金曜日の参考資料不掲載問題について(上)-(松沢呉一)
日本報道検証機構の解散
やっと解散ですか。代表者は他の団体を作って、日本報道検証機構はサイトの更新もほとんどなく、なんら役割を果たしていなかったですから、あってもなくても一緒。
2019年8月30日付「朝日新聞デジタル」より
日本報道検証機構のサイトでもその旨のお知らせがなされています。
この団体、あるいは代表者をどう評価するのかについては「産経「米兵日本人救出」デマ、GoHoo (日本報道検証機構) の楊井人文氏による産経擁護論をチェック - 「産経を批判する側も、フェイクを流した」のか!?」が大いに参考になります。
沖縄の新聞が産經新聞のフェイク記事を明らかにするまで、自身はその検証をした形跡のない日本報道検証機構が、フェイクを明らかにした沖縄の新聞であろうことを想像させつつ、しかし、具体名は出さないまま、「事実に基づかない批判」だったと断定し、それにBuzzFeedが乗じたことを検証したものです。
私は事実関係をひとつひとつ確認はしていないですが、傾聴に値する内容だと思えます。これについて楊井人文氏とBuzzFeedは回答する必要があるのではないか。
不正確な本数
メディアに対して正確さを求めている日本報道検証機構は、解散に際しても不正確なことを言っています。
朝日新聞は「7年間で計約1千本の検証記事を配信してきたという」と書いてます。日本報道検証機構自身がTwitterでそう書いているのですが、これは膨らませすぎです。私の方から「注意報」を出しておきます(笑)。
数字をよく見ていただきたいのですが、1092本中、もっとも多いのは「訂正記事紹介」の449本です。これは他のメディアの訂正記事を取り上げたものです。
これに解説がつきます。たしかに訂正記事は、それだけを見ると意味がわからないことが多いので、元記事をピックアップして解説してくれた方が理解しやすいのですが、検証記事とまでは言えないでしょう。「訂正記事を検証したのだ」と言えなくはないにせよ、一般的にイメージされる検証記事とは違います。
コラムも多くは検証記事とは言い難いので、「1000件以上」という数字にこだわるのであれば、ただの「記事」とすべきでした。この程度は通常とやかく言うべきことではないですが、ああも他者に正確さを求めている以上、自身も正確であらんとすべきではないでしょうか。
私自身、この団体に少しは期待がなかったわけではないのですが、ある段階で、大きな疑問が生じてました。
それについてはとっくに書いたものがあったのですが、元になったもの(『検証 産経新聞報道』)を読んでから公開しようと思いつつ、そのままになってしまいました。互いに納得して解決したならそれまでのことですから、出すまでもないかとの思いもありまして。
しかし、悪い先例になった感もあって、ずっと気にはなってました。問題になった記事のは本の一部にすぎず、概要はネットで確認できてますから、この機会に公開しておくことにしました。
2017年の話です。以下、大幅に手を加えてますが、時制はその時のままです。
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