松沢呉一のビバノン・ライフ

予定不調和のデアデビ・コマツ君—台風19号の被害でマゾになる[4]-(松沢呉一)

クンニやフェラは不潔だと思ったことはないか?—台風19号の被害でマゾになる[3]」の続きです。

 

 

コマツ君と私は似た者同士

 

vivanon_sentence台風被害のことは「ビバノン」で書くつもりがなかったのですが、「『マゾヒストたち』[無料記事編]」で出すかと思って、ざっとまとめました。しかし、デアデビの写真を撮っておらず、写真を撮るためにデアデビに行きました。

そしたら、その前にスマホのバッテリーが切れてしまいました。正確には元スマホです。カメラが壊れてしまって買わなきゃいけないのですが、スマホで撮ればいいのかとひらめきました。ところが、今使っているスマホで撮った写真をどうやってパソコンに移動させればいいのかがわからない。メールで送ってもいいのですが、大量に撮った時に送るのは大変です。

前に使っていたスマホで試したら、あっさりパソコンに移動できまして、これをカメラにしています。ピントが合いにくいなどの難点がありますが、まあいいかと。

スマホは相変わらず持ち歩かないことが多いのですが、元スマホはカメラとして持ち歩いてます。このバッテリーが切れたのです。

そこでコマツ君のスマホで撮って、それを送ってもらうことにしました。

「どこに送ればいいんですか」

「Facebookが一番いいかな」

「Facebookはやってないんですよ」

「じゃあ、メールで」

「いや、アドレスはあるんですけど、メールのやり方がよくわからない」

「えっ」

「Twitterでいいですか」

「使ってないけど、いいよ」

「送れるかな。僕もTwitterはほとんど使ってないんですよ。SNSでグチャグチャやっているよりも会って話すことの方が大事だと思って、Twitterはやめました」

「うん、それが正解。リアルでの接点が大事」

私は人に道を聞くのが好きなので、誰かと待ち合わせをするような時以外、スマホは持ち歩かないことを教えました。

「僕も同じです。人に話しかけた方がいいので、スマホの地図は使わないようにしています」

コマツ君とは何かと通じるところが多いのです。

※被害に遭った本の数々(これで全部ではありません)。一番手前は藤谷美和子写真集(笑)。他の本とくっついてカバーが剥げました。

 

 

デアデビの仕入れは一点一点現金交換

 

vivanon_sentenceコマツ君とは多動症的なところも同じで、発想も多動症から来るものかもしれない。それにしても、メールの送り方もわからないというのはすごいなあ。

「服ってどうやって注文するの? メールじゃないの?」

「今は通販で海外からも取り寄せられますけど、それは絶対にやらないことに決めてます。服は現物を見ないとわからないですよ。メーカーだとロットが揃わないと取引してくれないところもありますけど、馬喰町に問屋ビルがあるんですよ。そこに問屋がいっぱい入っていて、そこに入っている問屋だと一点でも買えます」

たまに小売業者専門の問屋ビルを見かけます。蒲田に食品専門の問屋ビルがあったり。その服屋版。

馬喰町の問屋街には一般の人も買える店もあるのですが、そのビルは小売店専用で、登録が必要。

デアデビはとくに派手でもなく、珍しくもないデザインの服も扱ってますが、売りは他にはないデアデビらしいものです。メーカーが作っているのですから、存在しないわけではないのだれど、小ロット生産の商品から選んでくるわけです。そういうものはデアデビでもそうは数が出ないので、一点二点ずつ仕入れる。効率は悪い。でも、こういうことをやっているから店の色が出て、ファンも集まります。

デアデビが営業している日は人がいっぱい。服を買うのはついでで、酒を飲んでダベっていくのが主たる目的です。私もここに集まっている人たちとなんとなく話をしているのが楽しかったりします。高円寺っぽいのです。

 

 

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