潜在的エゴティズム(implicit egotism)が明らかにしつつある人間行動—男の名前・女の名前[7]-(松沢呉一)
「女っぽい名前より男っぽい名前の方が裁判官として出世するという研究—男の名前・女の名前[6]」の続きです。
人間の心理は複雑
このシリーズは勢いよくスタートさせながら、間が空いてしまいました。連日、病院で検査をしていたためです。
検査の結果はまだ全部は出ていないのですが、昨日、MRIの結果、椎間板ヘルニアと診断されました。座骨神経痛は症状の名称で、病名は椎間板ヘルニア。頸椎ヘルニアと合わせてヘルニア・ワンペア。スリーカードを狙いたい。
MRI体験は頸椎ヘルニアの時に続いて二度目なのですが、たしか前も同じことを聞いたよなあと思いつつ、私はこう聞きました。
「寝てていいんでしたっけ?」
20分くらいジッとしていなければならないので、多動症気味の私には辛いのです。でも、寝てしまえばこっちのもん。
「動かないのであれば寝てもいいんですが、動くんだったら寝ないでください」
ということだったので、「寝ちゃいけない。寝ちゃいけない」と自分に言い聞かせているうちに寝ました。無事動かずに済みましたけど、寝ようとすると寝付かれなかったりするのに、なんで「寝ちゃいけない」と思うと寝てしまうんですかね。心理学で言うリアクタンス(reactance)の一種でありましょうか。
「見てはいけない」と言われると見たくなる。「やってはいけない」と言われるとやりたくなる。試験の時、締切の時こそ、今やらんでいいことをやりたくなるのは逃避の意味もありつつ、自由を制限されると反発するように人間はできているのだと思います。個人差はあるでしょうけど、私はこれが強い。
アンチ・ロックダウン・プロテストにも心理的リアクタンスが働いているかもしれない。
間が空いた理由はもうひとつあって、「名前の不思議」についての論文等を読み漁っていたのです。
※心理的リアクタンスを提唱したシャロン・ブレーム(Sharon S. Brehm)の『Psychological Reactance: A Theory of Freedom and Control』
潜在的エゴティズムというワード
ここから話はちょっと面倒になりますが、相当に面白い内容、あるいは相当に重要な内容だと思いますので、暇な人は読んでください。
今回私が子どもの命名について思い切りハマったのは、いくつか理由があるのですが、そのひとつは「潜在的エゴティズム」という学説を知ったことにあります。
子どもの命名について片っ端から読んでいるうちに、implicit egotismというワードが次々と出てきて、この考え方が一気に視野を広げました。私がぼんやりと考えてきたことの裏づけがとれたとも言えます。
ネットで読んだことから理解したものでしかなく、オリジナルの用語とはズレているかもしれないですが、その場合は名称を変えて、私のオリジナルとして発表し直せばいいや。
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