松沢呉一のビバノン・ライフ

5年ぶりのまとめ—山本圭壱復活を擁護する[2]-(松沢呉一)

鳥越俊太郎と山本圭壱-山本圭壱復活を擁護する 1」の続きです。5年前に1回で終わっていたシリーズもの続きを再構成して出しておきます。どうしても出しておきたい内容があったものですから。豊田真由子など、その後起きたケースも組み込んでいます。

 

 

 

「山本圭壱復活を擁護する」が一回で終わった事情

 

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「ボツ復活週間」のため、古いものを読み直しているのですが、「山本圭壱復活を擁護する」はいっぱい書いた記憶があるのに、1回で終わっていることに気づきました。なんでだっけなと思ってボツ記事を読み進めた結果、だいたいわかりました。自分のことなのにだいたいしかわからない。

山本圭壱がテレビに復活したことを叩いていた人たちの問題は多岐に及び、どこをとっても長くなります。そのひとつが懲戒というテーマです。テレビの起用は懲戒とは別ですが、企業や役所であれば懲戒があって、「懲戒は私刑に当たらないのか」「懲戒はどういう基準で決定されるのか」といった疑問について、私自身十分整理ができていないことに気づいて、懲戒についてのさまざまを調べ、考えているうちに、続きを出すタイミングを逸したのだと思います。

このことを踏まえて、数年後にスタートしたのが「懲戒の基準」でした。あれを始めた直接のきっかけは別にあるのですが、根底にあったのは山本圭壱騒動以降理解したことの蓄積でした。書いている時にはそんなことは全部忘れていたと思いますが。

また、「リンチの歴史」をまとめておこうと思ったのも、始まりは山本圭壱の件で考えていたことが背景にあります。

山本圭壱復活についての結論はあの時とまったく変わらず、「示談になって10年ほど経ってもなおテレビに復活することを叩く人たちは不当」ということなのですが、当時出しておらず、その後もまとめていないテーマがありまして、それを改めてやっておくことにしました。

ここまで出してきた「ボツ復活」は、「ほとんど完成しながらボツにしたもの」が中心で、いくらか手直しをしたり、図版をつけたりの作業で済むものが中心でしたが、時間が経ったこともあって、今回は書いてあったのをそのままは出しにくいので、あちこちに書いてボツにしてきたことを構成しなおして、その後の話を加筆して出すことにしました。

山本圭壱はいまさら触れられたくないでしょうが、もともと私は山本圭壱を擁護するとしながらも、主眼はなーんも頭を使わず制裁欲の虜になっていた人たちの本性を明らかにしたかっただけですから、山本圭壱のことなど知ったことではなく、続きをやって終わらせます。

何年も前に書いたことと、今回書いたことが混在していますが、原則、時制は現在です。

なお、「暴力団員の子どもは入社させないのが正しいのか?—懲戒の基準[32]」にもこの件は書いてますので、併せてお読みください。

※2015年7月15日付け「マイナビニュース」 ロンブーの淳が「山本さんって不起訴なんです。若い女性を無理やりにみたいなイメージがついちゃっているけど、まったく違くて、その女性が年齢を偽った上でやって来て、そういう関係になってしまった」と語ったとの記事。細部はわからないですが、「鳥越俊太郎と山本圭壱-山本圭壱復活を擁護する 1」で説明したように、山本圭壱が相手の年齢を知らなかったのはまず間違いない。年齢についてのやりとりがなかったのか、相手が嘘を言ったのかどちらかです。その上でやってはいかんことをしてしまったという話ですから、これだけですべてを擁護できるわけではないですが、前提になる事実が正確に理解されないまま、実際以上に悪辣なことをしたように思われていたことを訂正しようとした淳は適切です。

 

 

改めて確認

 

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こういう事件があるたびに思いますが、「実際に何があったのか」については第三者は踏み込みにくい。想像でわかる範囲には限界があります。にもかかわらず、一方的に嫌疑をかけられた側が叩かれますから、そこにつけこむ「悪意の被害者」も出てきます。山本圭壱の場合は、「計画のもとに近づいてきた女にハメられた」なんてことは考えられないとして、芸能人や政治家だとそういった人々も近づいてきて、過去には「悪意の被害者」にハメられたのだろうと思える事例がいくつか起きています。

笑ビ! アンガールズ ~ナタリー~ [DVD]やっぱり日本でもセックスする場合は合意を証明するアプリみたいなものがあった方がいいと思います。そんなアプリがなくても、スマホで録音すればいいだけですけどね。これがあれば相手が前後不覚になるくらいに酔っていたわけではないことの証明にもなります。芸能人の場合、「そんな証拠を残すことの方が危険」ということになりかねないので、事件にならない限りは情報が外に出ないアプリがあった方がいいと思うなあ。

それがなお日本では存在していないない現状において、裁判になったらある程度のことはわかり、検証もなされますから、どしどし裁判に持ち込んだ方がいい。その結果がつねに正しいわけではないにせよ、裁判所の判決も出るので、判断の目安にはなります。

山本圭壱の場合はそれもないので踏み込みにくいのですが、ともあれ示談になったとの事実を踏まえて話を進める以外にないでしょう。

※アンガールズの山根良顕の場合は完全にシロであり、むしろ被害者です。告発した相手が名誉毀損で有罪に。裁判まで至ったからはっきりしました。

 

 

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