東アジアに共通するブラックフェイス騒動—脳内地図を修正する試み[8]-(松沢呉一)
「オリンピックの亡命競技に注目する—脳内地図を修正する試み[7]」の続きです。
「半黒人はテレビに出るな」
外国人選手を迎え入れる際に、なにより問題なのは、日本に帰化したところで、あるいは日本人として生まれたところで、外国人の血が入っているだけで排除する国であることです。
大坂なおみに対するバッシングを見れば「あんな国に帰化したくない」と思いますわね。
そういうヤツらは、大坂なおみが米国に帰化すれば自分がどれだけ低劣な人間が気づけましょうか。それでも無理か。人権意識がもっとも低いタイプの中国人と同じだと自覚した方がいい。
つい最近知った中国の例。
2009年9月18日付「China Daily」
2009年のこと。テレビの素人歌番組に、母が中国人、父がアフリカ系米人であり、演劇を学ぶ娄婧(ルウ・ジン)が出場。支持も多かったのですが、ベスト5にまで残ったところから、インターネットですさまじいバッシングが始まります。「半黒人はテレビに出るな」と。
結婚をしないで米人の子どもを生んで、米人が帰国後、シングルマザーとして育てた母親まで叩かれだす騒動になってます。この記事にあるように、「外国人と結婚する人は誰でも彼または彼女の人種の裏切り者」とみなされるのですし、結婚せずに子どもを生む場合も同じです。
この場合の「人種」は「漢民族」と言い換えてもいいかと思いますが、この一文の文脈で言えば「とくに肌の黒い人種との結婚を許さない」ってことであり、「肌の黒い人種とのセックスも許さない」ってことです。今まで書いてきた話と完全合致。ナチスの異民族忌避とも完全合致。
中国であっても、メディアはさすがに彼女を擁護するスタンス。「チャイナ・デイリー」は政府系英字新聞で、この記事も煮え切らないところはあれ、彼女を擁護しています。
番組ではベスト5で終わったようですが、これがきっかけで上海のテレビ番組にレギュラー出演するように。その後どうしたのかは不明ですが、たぶんそうは活躍できなかったのではないか。彼女の才能の問題もあるので、それが差別のためであるとまでは言えないまでも、そうである可能性もまた否定できません。
脳内地図にアフリカがないことの問題
すべてではないにせよ、これが「アフリカ人は友人」と言いつつ、アフリカ進出をする中国では決して無視できない層です。正月番組で黒塗りはしても、生まれつき肌の黒い人はテレビにも出られない。アフリカの国に住んでも、地元の言葉は覚えず、地元の料理は食べない中国人とこのことは直結しています。
中国人はアフリカまで出かけていってそれをやるから目立つだけで、実のところ、東アジアに共通する性質なのではないか。
韓国でもブラックフェイスは繰り返されています。ここに出したSSのは2017年のSBSの番組で、コメディアンが扮したもの。番組は謝罪をすぐ出しますが、コメディアンは差別する意識はないと弁明。
これを取り上げているリンク先の記事を見ていただければわかるように、2020年には高校生たちによるブラックフェイスが問題となり、これに抗議した在韓ガーナ人が逆にバッシングされて、謝罪する事態に。
韓国、中国、日本は似たもの同士。
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