松沢呉一のビバノン・ライフ

わずかな変化はあっても、なお口紅は女であることの表示—唇が物語る[10]-(松沢呉一)

コロナ禍の化粧調査とゆにばーす・はらちゃんの化粧—唇が物語る[9]」の続きです。

 

 

韓国人YouTuberデボちゃん

 

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韓国人YouTuberのデボちゃんが面白くて、よく観てます。

とくにこの回はワロた。

 

 

 

一緒にいるのは、デボちゃんが高校の時に一年上級だったミンちゃんが日本に来てつきあうようになったしゅういち君。しゅういち君はミンちゃんに一目惚れです。ミンちゃん経由で知り合って、デボちゃんとしゅういち君は今や親友です。

以下は3人が揃って出ている、デボちゃんとしゅう君のチャンネル「私達仲いいです」より。

 

 

デボちゃんはミンちゃんが元ヤンキーだと言ってますが、ヤンキーではないにしても、気の強さが魅力。

この動画でデボちゃんはファンデーションを塗って口紅をつけているようにも見えますが、肌がきれいで、その分、唇の赤みが強く見えるだけなのかな。

かつてははっきり化粧をしてました。YouTube用ではなく、いつもしていたようです。

今も肌のケアをしていて、リップクリームもよく使っているのですが、化粧はもうしていないと言ってます。

 

 

 

韓国では男の化粧が浸透

 

vivanon_sentence彼が化粧をしていることに私も気づいてましたが、おかしな顔をしなければ童顔でかわいいので、無理のない化粧でした。韓国の男性アイドルたちが化粧をしていて、それを真似していたらしい。

韓国では、アイドルの影響で、化粧をする若い男が増えていて、男性用コスメも売りだされ、日本にも伝わってきているという記事を私も読んでいました。奇異なものではなく、笑いも伴わず、カッコいいものとして男が化粧をするのは画期的。

デボちゃんは韓国の男性アイドルが大好きなので、そういうものだとわかりつつも、「ゲイなのかな」とぼんやり私は思ってました。本人はヘテロであるような発言を繰り返していますが、仕草、言葉使い、発言の内容などを含めて、ぼんやりとそう思っていて、化粧をしていたのも理由のひとつです。

化粧するとしたら、ゲイよりトランスですけど、ドラッグクイーンであれば化粧しますし、ドラァグクィーンにまで至らないオネエタレントも化粧をしていたりします。それらを含めて、「化粧をするのはヘテロの男ではない」という感覚が私の中になお強くあるのだろうと思います。

これは現実を背景にしていて、少なくともこの日本において化粧、中でも口紅は、圧倒的に女がするものであり、ほとんどスカートやブラジャーに近いものと言っても間違いではないでしょう。

その現実に異を唱えて、口紅をつけない、あるいはつけていないように見せる、唇を青に染めるといった「反抗」をする女たちがいることはすでに見た通りですが、そこから一般の人たちに青い唇が広がるようなことまでは起きませんでした。

また、男のミュージシャンが化粧をするのは1970年代から繰り返されてきたことですが、一般に広がったとは思えないのに対して、韓国のアイドルの影響力はすさまじいものがあり、それがデボちゃんにも及んでいたわけです。

韓国においては、男が化粧しても「ゲイか?」とはみなされないくらいになっていそうです。

※2021年2月15日付「Dew」 韓国の男が化粧することの現実を日本の男向けにガイドした記事。韓国のアイドルたちは自身を中性的に見せるメイクをはっきりとやっているのに対して、一般の男たちはもう少しナチュラルなメイクをしているとのこと。韓国でも化粧は中性的になって、「男性的な化粧」は成立しにくそうです。

 

 

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